米フェイスブック、社名を「メタ」に変更 企業ブランドの刷新図る

Mark Zuckerberg

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フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)

米フェイスブックは28日、同社ブランドの刷新の一環として、同日付で社名を「Meta(メタ)」に変更した。同社は新社名について、ソーシャルメディアだけでなくバーチャルリアリティ(VR)などの分野にも事業を拡大していく中で、自社の事業内容をよりよく「包含」するものだと説明した。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はこの日のバーチャル会合で、「メタヴァース」と呼ばれるオンライン世界を構築する計画を発表するとともに、社名変更を明らかにした。メタヴァースとは、人々がゲームや仕事をしたり、VRヘッドセットを使って仮想環境でコミュニケーションを取ったりできるオンライン空間のこと。

ザッカーバーグ氏は、既存のブランドでは「将来はもちろんのこと、現在当社が行っている全ての事業を表すことはできない」ため、社名の変更が必要だと説明。

「将来的には当社がメタヴァース企業として認識されることを願っている。当社の仕事やアイデンティティを、当社が目指すものにしたいと考えている」と述べた。

「当社は現在、当社のビジネスを2つの異なる区分として捉え、報告している。1つは当社のアプリケーション・ファミリー、もう1つは将来のプラットフォームに関するものだ」

「その一環として、当社は自分たちが何者で、何を構築したいのかを反映するために、当社が行うこと全てを包含する新しい企業ブランドを採用する時が来た」

同社が運営するフェイスブックやインスタグラム、ワッツアップなどの個々のプラットフォームの名称は変わらない。

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フェイスブックをめぐっては、元従業員のフランシス・ハウガン氏が同社の内部文書を大量にウォール・ストリート・ジャーナルに提供。ユーザーの「安全よりも利益を優先」していたと同社を非難するなど、ネガティブな話が浮上している。こうした中で企業イメージの刷新を図ったかたち。

米グーグルは2015年、親会社アルファベットを設立して企業再編を図ったが、アルファベットという名称は定着していない。

フェイスブックは28日、 米カリフォルニア州メンローパークにある本社の看板を、親指を立てた「いいね!」のロゴから青色のインフィニティ(無限)の図形をあしらったものに一新したことも発表した。

ザッカーバーグ氏は新社名について、将来的にユーザーがフェイスブックを利用しなくても同社の他のサービスを利用できるようになることを反映していると述べた。

仮想世界

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メタヴァースのイメージ

「メタ」とは、ギリシャ語で「超越した」という意味。

この分野に詳しくない人にとっては、メタヴァースはVRの一種のように見えるかもしれないが、これがインターネットの未来になるのではないかと考える人もいる。

メタヴァースではコンピューターの代わりにヘッドセットを使い、さまざまなデジタル環境をつなぐ仮想世界に入る。

この仮想世界は仕事や遊び、コンサート、友人や家族との交流など、実質的にあらゆることに利用できると期待されている。

フェイスブックは12月1日から、「MVRS」の銘柄コードで株式の取引を行う予定だという。

流出文書

フェイスブックは評判を度々落としている。28日付の米紙ワシントンポストは、新型コロナウイルスのパンデミックの最中に、同社がワクチンにまつわる誤情報に関する重要な情報を政策立案者に伝えていなかったと報じた。

これは、同社元社員ハウガン氏がメディアにリークした内部文書に基づく、最新の記事だ。流出文書を基にした報道によると、フェイスブックはインスタグラムが10代の若者の心の健康に悪影響を及ぼすという調査結果を隠ぺいした。また、米国外のプラットフォームからヘイトスピーチ(憎悪表現)を削除するのに苦慮していたという。

ザッカーバーグ氏は、これらの報道は「流出文書の一部を抜き出して、私たちの会社について誤った印象を与えようとする組織的な取り組み」だとしている。