ビタミンちくわのカレーを味わう髙橋さん(左から2人目)=長野県大町市(スギヨ提供)

 スギヨ(七尾市)は2日までに、黒部ダム建設時に作業員が食べたちくわ入りのカレーを再現し、元作業員らに振る舞った。建設に携わった髙橋秀夫さん(78)=長野県大町市=は「当時は食事が何よりの楽しみだった。記憶がよみがえってくる」と懐かしの味をかみしめた。

 同市の扇沢レストハウスで、髙橋さんやスギヨのちくわ職人や、山小屋でちくわカレーを作っていた料理人を招いて食事会を開いた。

 髙橋さんはダム本体の施工を手掛けた間(はざま)組(現安藤ハザマ)に18歳で入社。コンクリートを運ぶ重機のオペレーターなどを務めた。髙橋さんはカレーを口に運び「こんな味だった。60年ぶりやね」と顔をほころばせた。

 ちくわの形が貫通したトンネルに見えることから、ダム建設現場では縁起がいいと重宝され、ちくわカレーは人気メニューだったという。

 スギヨの「ビタミンちくわ」は生産量の約7割が長野県で消費されており、カレーのほかにもてんぷらや煮物、チャーハンなど多様な料理に使用されている。ビタミンちくわが来年、発売70周年を迎えるため記念事業として企画した。

無断転載・複製を禁じます