除隊になった韓国のトランスジェンダー兵士、遺体で発見

transgender soldier Byun Hui-soo

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性的アイデンティティーに関して保守的な韓国では、ピョンさんの除隊処分が、トランスジェンダー兵士の処遇をめぐる議論へと発展した

韓国で、軍入隊後に性別適合手術を受けたことで除隊処分を受けたトランスジェンダー女性が、自宅で亡くなっているのが発見された。

亡くなったのは、トランスジェンダーの権利活動家でもあるピョン・ヒスさん(23)。死因は明らかになっていない。

ピョンさんは昨年1月に予備役となったあと、除隊処分の取り消しを求めて裁判を起こしていた。

韓国軍にも部隊への復帰を求めたが、軍は昨年7月、この訴えを退けた。

ピョンさんはその後、ソウル南郊の清州(チョンジュ)市に住み、メンタルヘルス(心の健康)のカウンセリングを受けていた。担当カウンセラーが、2月28日以降ピョンさんと連絡が取れなくなっていることを心配し、緊急サービスに通報した。

韓国で社会的な議論に

性的アイデンティティーに関して保守的な韓国では、ピョンさんの除隊処分が、LGBTQ(性的マイノリティー)の人々だけでなく、トランスジェンダー兵士の処遇をめぐる議論へと発展している。

ピョンさんは「自分の性的アイデンティティーは別として、私は自分がこの国を守る素晴らしい兵士の1人になれるということを、みんなに示したい」と話していた。

韓国では、健康な男性に約2年間の兵役が義務づけられている。

国家人権委員会は昨年12月、ピョンさんの除隊処分には法的根拠がないと結論付けた。

韓国では、LGBTQへの風当たりが他の東アジア諸国よりも強いとされている。

性的マイノリティーは障害や精神疾患だと思われたり、保守的で強大な力を持つ教会からは罪だと断じられたりすることが多い。また、韓国には差別禁止法がない。

ピョンさんの件についても、反LGBT活動家がインターネット上でピョンさんを特定しようとしたり、軍にピョンさんの除隊処分を求めるデモを行ったりしていた。