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錦川鉄道錦川清流線(山口県岩国市)には、景観を楽しむためだけの秘境駅がある。2019年3月、26年ぶりに誕生した新駅「清流みはらし駅」だ。
山あいを進むと、錦川に沿った断崖にホームが突如現れ、眼下の清流や山側の滝など絶景を味わえる。
駅舎の5連のアーチ屋根は、岩国市が誇る国の名勝・錦帯橋と白蛇をイメージした。近くに道や橋はなく、列車でしかたどり着けない。停車するのは、月に1本程度運行される臨時列車のみだ。
建設は至難の業だった。資材などを近くの駅構内に集めておき、列車の運行が終わった深夜、保守用車両で搬入する作業を繰り返した。真っ暗な中、投光器の明かりだけが頼りで、作業に2か月ほどを要した。
停車するのは15分間。杉原孝幸営業課長(54)は「静寂の空間を味わえる特別な駅です」と話す。