発車1日たった11本、山間のターミナル備後落合駅に変化 乗客増の陰に地元の支え

寂れ行くターミナルが再び活気づく!

「ターミナル」としての遺構が残る無人駅は、いつしか「秘境駅」として鉄道ファンのあいだで語られるようになりますが、寂れ行く状況を見かねて、駅の清掃を始めた人がいます。備後落合駅近くに住み、かつて国鉄の機関士だった永橋則夫さんです。駅構内や官舎跡の雑草を刈り、何年もかけてコツコツときれいにしていったのです。

 その姿に鉄道ファンも動かされます。地元の鉄道ファン団体「安芸矢口企画」が備後落合駅に「駅ノート」を設置したり、またある人は駅に壁新聞「備後落合通信」を掲示し、近隣の見どころを紹介したり(現在は休止中)。毎年末には新見駅職員の立ち合いのもと、永野さんや鉄道ファンらで大がかりな清掃を行うようにもなりました。

 十数年の年月をかけて広がっていったこれら活動もあってか、備後落合駅の周りでは、観光協会により制作されたパンフレットを片手に見どころを巡る訪問客も徐々に見受けられるように。最近では海外からの旅行客も見られ、2018年には駅スタンプや障害者用の手すり、写真撮影のための顔出しパネルも新設されました。

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備後落合駅でガイドを務める元・国鉄職員の永橋則夫さん(oleolesaggy撮影)。

 観光シーズンには不定期で、永橋さんが機関士時代の制服を着て、駅周辺のガイドツアーも行っています。また、かつて駅ホームで販売されていた名物「おでんうどん」も、近くの「ドライブインおちあい」で9月から翌年5月のあいだ提供されています。

 ちなみに、2018年7月の西日本豪雨で被災した芸備線の備後落合~備後庄原間は運休が続いていましたが、12月20日(木)に復旧し、備後落合駅に3つの方向への列車が集う予定。これにあわせ、12月16日(日)に有志による駅の清掃活動が行われ、12月22日(土)には復旧を祝うイベント「おかえりなさい芸備線復活祭」が開催されます。こうした地元の人々や鉄道ファンの活動が、乗客アップへとつながっているのかもしれません。

【了】

※記事制作協力:風来堂、oleolesaggy

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コメント

4件のコメント

  1. たった、10人程度しか増えていないのは誤差の範囲内
    それだけで廃線を免れる明るい兆しとでも?
    人口減少は絶対不可避の未来
    1日5本しか列車が来ない時点でバス転換は確実でしょ

  2. 備後落合~新見方面・木次方面への接続が非常に悪い。備後落合~新見間を乗車しようと思ったらわざわざ新見で宿泊しないといけなかった。このようなダイヤでは「乗り鉄」が「最高難易度の路線乗車(例えるならばゲームの「ステージ」)をクリアする」ような感じになってしまい、実用的には乗車利用困難な状態に陥っている。

    この地域の路線(芸備・木次線全線)を乗り通せる便数を一日あたり5往復程度はほしい。そうするだけでもかなり訪問しやすくなる。

    • 鉄道は乗りテツのためにダイヤを組んでいるわけではありませんから。

  3. 陰陽連絡線機能は下り側が実質伯備線、もしくは智頭急行線経由になっているように感じます。
    例えば特急はまかぜ1号に乗って浜坂に着いても、わずか4分前に鳥取行きが出発してしまう不便さ…長距離観光客のみならず、近隣地域からの観光客や地元の人たちが理不尽になってしまうように思います。

    鉄道ファンとしては1日でも長く走って欲しいですが、今回の芸備線の早い復旧も去ることながら、災害復興や利用客の多い地域での耐震対策などで課題が山積みのJR西日本を思うと、いろいろ厳しいかなと思います。