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アガサ・クリスティーの自伝を手にする貴戸湊太さん=三木市福井、中央図書館
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アガサ・クリスティーの自伝を手にする貴戸湊太さん=三木市福井、中央図書館

 兵庫県三木市の小説家貴戸湊太さん(30)が、三木ゆかりの芸術家を支援する団体「若手アーティスト応援団」の推薦対象に選ばれた。10月に第18回「このミステリーがすごい!」大賞のU-NEXT・カンテレ賞を受けたことが決め手になった。来年2月には受賞作が宝島社から刊行される予定で、3月には連続ドラマ化も企画されている。(大橋凜太郎)

 小説家を志すきっかけになったのは、幼い頃の読み聞かせだった。貴戸さんの母が選んだのは「オリエント急行殺人事件」などアガサ・クリスティの名作。ミステリーを好むようになったのもこの経験が大きいという。

 中学ではSFやライトノベルなど幅広い分野に手を出すようになった。執筆にも興味が湧き、3年生で長編小説に初挑戦したが、満足できる出来栄えではなく、挫折感を味わったという。その後は三木高校から神戸大学文学部に進み、近世日本文学を専攻。小説も読みふけったが、創作には気が向かなかった。

 大学在学中に国家公務員2種試験に合格。卒業後は国立病院機構で事務員として働いたが、1年ほどで退職した。「つらい時期だった」というが、気持ちを和らげ、現実を忘れさせてくれたのは小説だった。前職の上司から書くことを勧められたこともあり、「今度は自分がつらい思いをしている人に寄り添おう」と再び筆を執った。

 塾講師のアルバイトの傍ら執筆を再開。読者は、かつて読み聞かせてくれた母や気の置けない友人だった。助言を受けて表現や内容に磨きをかけ、八十数作目の学園ミステリー「ユリコは一人だけになった(仮題)」が初の受賞作となった。

 19日には市役所で仲田一彦市長、西本則彦教育長と面会。2人から三木を舞台にした小説を期待され、「別所長治公を絡められたら」と答えたが、まずは次回作を発刊するのが目標だ。「自分の作品を楽しみに生きてもらえるような小説を書きたい」と力を込めた。

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