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英国がEU離脱 加盟国の離脱は初

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ブリュッセルのグランプラスで、イギリス国旗とEUの旗を掲げる女性=AP

 英国は31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)、欧州連合(EU)を離脱した。1952年に前身の欧州石炭鉄鋼共同体が発足して以来、拡大を続けてきたEUから加盟国が離脱するのは初めて。2度の大戦を教訓として進められてきた欧州統合は節目を迎えた。

 離脱後の英国とEUは、激変緩和措置として設定された今年12月末までの「移行期間」にただちに入った。移行期間中、英国とEUは通商関係や規制の共有などを従来通り続け、英国の市民生活に大きな影響はない。一方、英国はEUの政策決定に参加できなくなり、欧州議会でも議席を失う。

 ジョンソン英首相は離脱直前に国民向けのビデオメッセージを公開し、「政府としての我々(私)の責務は、この国を団結させ、前進させることだ」と強調。EUとの関係については「EUと英国との、友好的協力の新たな時代の始まりにしたい」と述べた。

 EUは31日に主要3機関のトップがブリュッセルで共同記者会見し、EUの「新たな夜明け」に27加盟国が連帯して臨む必要性があると強調。フォンデアライエン欧州委員長は、「欧州の可能性は英国の離脱によって変わるものではない」と述べ、気候変動問題やデジタル分野のルールづくりなどで国際社会をけん引する意思を示した。

 移行期間の期限終了までに英国とEUが自由貿易協定(FTA)を含めた将来の関係を確立できるかが、今後の重要課題となる。貿易交渉は多岐にわたるため、EU側からは年内の合意は困難との声も上がる。移行期間は最長で2年の延長が可能だが、ジョンソン英首相は移行期間の延長はしないと明言。離脱関連の英国内法も延長を禁じる条項を含んでいる。貿易協定で合意のできないまま移行期間が終了すれば、経済や市民生活に混乱をきたす「合意なき離脱」と同様の状態に陥る恐れがある。

 英国は73年、EUの前身である欧州共同体(EC)に加盟。加盟時にも国内では賛否両論が激しく、75年に離脱の是非を問う国民投票を行い、この際は残留支持が多数となった。保守党サッチャー政権(79~90年)以降、EU懐疑の声が徐々に強まり、域内の自由移動を保証する協定や単一通貨ユーロにも参加せず、欧州大陸側と距離を保った。

 2000年代以降、EUの東方拡大に伴う移民流入などを背景に離脱問題が再浮上。16年6月に離脱の是非を問う国民投票が行われ、約52%が離脱を支持。英国の離脱方針が決まり、残留を訴えた保守党のキャメロン首相は辞任した。

 直後に発足した保守党メイ政権はEUとの間で離脱協定を妥結したが、EU残留派が多い野党や保守党内の離脱強硬派らから反発を受け、協定は下院で3度も否決。国論を二分するブレグジット(英国のEU離脱)を巡り、英政界の混乱が続いた。このため、当初の離脱期限(19年3月29日)は計3度延期されることになった。

 離脱協定を議会で通せず進退きわまったメイ氏に代わり、19年7月に首相に就任したジョンソン氏は新たな離脱協定でEUと合意。しかし少数与党政権であるため議会を通過させることができず、解散総選挙に打って出た。19年12月の下院総選挙で保守党が圧勝したことで、ようやく離脱協定の批准にこぎつけた。【ロンドン服部正法、ブリュッセル八田浩輔】

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