イスラム系反政府勢力連合が権力を掌握してから数カ月後の2013年5月、紛争ダイヤの国際取引防止を目指す取り組み「キンバリー・プロセス」により、中央アフリカのダイヤ原石は輸出が規制された。キンバリー・プロセスとは、アフリカなどの紛争地域で武装勢力が資金源として採掘するダイヤ原石の取引を、原産地証明書の添付を義務づけることで防止しようとする認証制度。
ダイヤはそれまで中央アフリカ最大の輸出品で、年間生産能力は推定84万カラットに上り、アラブ首長国連邦(UAE)がその重要な買い手だった。中央アフリカは12年、金額ベースで世界10位のダイヤ生産国だった。
昨年、西部で戦闘が沈静化したことを受け、紛争地域における輸出禁止措置の一部が解除された。戦闘が継続中でダイヤが武装勢力の手にわたる可能性の高い地域では禁止措置を続ける一方、いわゆるグリーン・ゾーン(安全地帯)からの輸出は認めることにしたのだ。貿易が真っ先に再開されたのはマンベレ・カデイ州の州都ベルベラティで、16年5月のことだった。同州には中央アフリカにおける2つの主要な河川系が存在し、米地質調査所はその埋蔵ダイヤ量を3900万カラットと推定している。
「ダイヤの輸出が全土で再開できるよう、引き続き協調して取り組んでいく」とムボリ・ファトレーン鉱山相は明言している。政府はダイヤ採掘業者へのライセンス料も30%以上値下げし、68万CFAフラン(約12万円)とした。