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【正論】実体のない「従軍」冠した罪重い 国学院大学名誉教授・大原康男

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【正論】
実体のない「従軍」冠した罪重い 国学院大学名誉教授・大原康男

 ≪朝日の報道検証の余熱≫

 8月5、6の両日にわたって、朝日新聞が掲載した「慰安婦問題を考える」は、同紙が長年にわたって執拗(しつよう)に続けてきた、いわゆる「従軍慰安婦」糾弾キャンペーンの枢要な根拠とされる「吉田清治証言」が虚構であったことを初めて認めたため、各界各層に大きな衝撃を与え、その余熱は今も残っている。

 振り返ってみれば、この問題は平成9年の4月から中学校のすべての社会科教科書に「従軍慰安婦」に関する記述が掲載されることが明らかになったのが発端である。私自身もこの論議に加わった経緯があるので、17年前を想い起こしながら所感の一端を述べてみたい。

 少々乱暴な設定かもしれないが、当時、私は本件を名詞としての「従軍慰安婦」と動詞としての「強制連行」という2つの事柄の検証作業ということに集約できると考えた。しかしながら、政府が今年6月に公表した河野洋平官房長官談話作成過程の検証結果でも明らかなように、今日の論議は後者に集中し、前者の検証に関わる論及がほとんどないことにいささか不満を覚える。

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