GOOD DESIGN AWARD

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CC

2016

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
吊革 [吊革]
事業主体名
相模鉄道株式会社、相鉄ホールディングス株式会社
分類
移動用機器・設備
受賞企業
相鉄ホールディングス株式会社 (神奈川県)
相模鉄道株式会社 (神奈川県)
受賞番号
16G070519
受賞概要
2016年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

「デザインブランドアッププロジェクト(相模鉄道の駅・車両・制服について、統一感を持ったデザインコンセプトのもとに刷新を図る)」に基づいた車輌(9000系)の全面リニューアルに伴い製作された鉄道会社オリジナルの吊革です。これまで以上に、お客様に「安全」「安心」「エレガント(豊かさ)」を提供することを目的としています。

プロデューサー

相鉄ホールディングス株式会社 経営戦略室(ブランド戦略担当)部長 長島 弘和+相模鉄道株式会社 取締役運輸車両部長 松本 康志

ディレクター

株式会社グッドデザインカンパニー クリエイティブディレクター 水野 学+株式会社丹青社 プリンシパル クリエイティブディレクター 洪 恒夫

デザイナー

株式会社プロダクトデザインセンター プロダクトデザイナー 鈴木 啓太+株式会社GKインダストリアルデザイン 若尾講介(監修)+株式会社アサヤマ(監修)

鈴木 啓太(PRODUCT DESIGN CENTER)

詳細情報

http://www.sotetsu.co.jp/design-pj

利用開始
2016年4月10日
販売地域

日本国内向け

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

安心・安全・エレガント。

背景

相鉄グループが2017年に創立100周年を迎え、今後東京都心への相互直通運転を開始するにあたり、アートディレクター監修のもと、お客様との最大の接点となる鉄道の駅・車両・制服などを統一したデザインコンセプトによりリニューアルを図る「デザインアッププロジェクト」を実施しています。その一環で、既存車両の全面リニューアル、新規車輌の開発を進めており、吊革を始め、ステッカー類に至るまで見直しを進めています。

デザイナーの想い

安全で、美しい。相模鉄道のためにデザインした吊革は、シンプルなテーマに基づいて作られました。新しい発見であった「楕円リング」の機能性向上に加え、色彩の統一や細部の工夫により、美しい道具ができました。混雑する都心部の車両でも、安心して気持ち良く使える吊革の、未来の原型を作るつもりで制作に取り組んだ製品です。

企画・開発の意義

吊革は、電車内において最も多くのユーザーが触れるプロダクトと言えるかもしれません。吊革のデザインを良くすることは、通勤や通学を快適にすることであり、毎日の安全や安心を作り出すことに繋がります。小さな吊革は、社会に大きな影響を与えます。これまで、鉄道事業者が自ら通勤車両の吊革を開発した例は多くありません。私たちは「日本の吊革のスタンダードを作る」という意気込みで、新しい吊革を作り上げました。

創意工夫

【1.掴みやすさ】どの方向から掴んでも握りやすようリングを楕円形に設計。断面を三角形にし、指の引っ掛かりを作りました。軽く、楽に握ることができ、長時間使用しても手に痛みを感じにくくなりました。【2.サヤ】サヤとはベルト同士を固定する金具上に被せる筒状のパーツです。従来品よりも側面のエッジRを大きく設計しており、しっかりと握りこめます。カンパニーマークを取り入れたデザインも他に類を見ない独自性があります。清掃性に配慮し、表面は光沢で仕上げています。【 3.機能的な色彩計画 】吊革には、黒い汚れ(手垢汚れ等)と白い汚れ(埃、有機粉塵)が付着します。製品を「グレー」としたのは、どちらの汚れも目立たせなくするためです。車内と色のコントラストを抑えた「ベルト」は多数の吊革が作り出す煩雑さを抑える効果があり、コントラストを上げた「リング」は「掴める場所」であることを意識付ける効果があります。

仕様

横 13.1cm ×縦 44.3cm(最小)×奥行 2.5cm

どこで購入できるか、
どこで見られるか

相模鉄道9000系リニューアル車輌内、相模鉄道本線(横浜~海老名間)、いずみ野線(二俣川~湘南台間)
相鉄グループ デザインブランドアッププロジェクト
PRODUCT DESIGN CENTER

審査委員の評価

鉄道車輛のデザインでは、外観と車内の座席レイアウトなどが主なデザイン対象と見られがちであるが、吊革という小さな構成要素を再検討して握りやすさや快適性を向上させ、新たなデザインを生み出している点が高く評価できる。シンプルな製品ほど、何かを付け加えたりすることなく、そのままで新たな提案にたどり着くのは難しいものであるが、形状や色などをじっくりと検討することで、機能的で美しいデザインを実現しており、プロダクトデザインの王道ともいえるアプローチが成功している。本製品は鉄道全体に関わるブランディングの取り組みの一つということであり、今後は他の対象物についても同様の取り組みを期待したい。

担当審査委員| 根津 孝太   伊藤 香織   岡崎 五朗   佐藤 弘喜   Juhyun Eune  

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