声優 伊東 健人

ここに通えば、自分を変えてくれるきっかけが作れるかもしれない」と思い願書を出しました。今思えばおかしな発想です(笑)。

僕は、特に将来の目標もないままに大学に通っていました。そろそろ就職活動に入らなければいけない時期に差し掛かり準備を進めていく中で、自分は人とコミュニケーションを取るのが不得手だな、と痛感させられる事になります。その時にふと目にした東京アナウンスアカデミーの広告を見て「声を使う職業になる為の学校か…言わば喋るスキルを上げられる場所。ここに通えば、自分を変えてくれるきっかけが作れるかもしれない」と思い願書を出しました。今思えばおかしな発想です(笑)。

声優コース以外にも東京アナウンスアカデミーにはいくつかコースがありましたが「そういえば、この前見たアニメ面白かったな。あのキャラクター達に声を吹き込んでいるのが声優って仕事の人たちなのか…」と、一番印象に残っていた職業のコースに応募しました。声優という仕事を始めて意識したのはこの時だった気がします。そしてここから、声のお芝居にはまって行きました。

声優の仕事は、想像していたよりも何倍も難しく、何十倍も楽しいです。僕が苦手意識を持っていたコミュニケーション力は一番大事といっていいかもしれませんし、その上で様々な方の協力があって作品は作られます。仕事を続けていく為には、自分の中の壁をひとつひとつ壊していく覚悟を持たなければいけませんでした。⚪︎⚪︎が苦手で…なんて言っていられません。

さらに声優の仕事も今は多様化していて、声の仕事だけでなく、歌って踊ったり、撮影があったり、人前でトークをしたり…。僕にとっては挑戦の連続ですが、それをクリアしていく事が今は楽しくて仕方がありません。とはいえ、マイクの前で声をアニメーションのキャラクターや外画の役者さんに当てるのが一番好きです。そこは変わりません!

声優の世界には、偉大な先輩達や才能の塊のようなライバル達が沢山います。自分がなんとしてもやりたい声の仕事や役があったとして、そのポジションには自分より上手で知名度の既にある先輩やライバルが着いている可能性が高いと思います。なので新人であるうちは、誰でもいいから君で良いという理由で仕事をいただく機会がほとんどだと思います。そんな仕事の一つ一つを、楽しみつつ誠意を持って全力で取り組んでいく事で、誰でもよくない君が良い。と言って与えてもらえる役をもっともっと増やしていく事が今の目標です。そして最終的には、なるべく多くの視聴者の皆さんに「こういった性格、見た目のキャラクターなら、伊東健人の声が合いそうだよね」とぱっとイメージして貰えるようになれば、とても嬉しいだろうなと思います。

この僕のメッセージを見てくださっている皆様も、様々な理由で声優を目指していると思います。子供の頃からアニメが好きで声優に憧れて来た人。喋る事が大好きで、自分の声をいろんな人に届けたくて声優を目指した人。僕のように、自分の何かを変えたくて未知の世界に飛び込もうとした人。その初心を忘れないで育て続けて、来たるハードルを乗り越えて行く事を楽しんで欲しいと思います。そうすれば、人生において必ずプラスになるものを手に入れられるはずです。最初に思い描いていた夢にそのままたどり着けるかどうかはもはや運ですが、その確率を1パーセントずつでも上げて行く努力はできるはず。悩んでいたり自信がなかったり、今まで興味を持たなかったものにも是非足を踏み出して見てください。僕が声優という職業にのめり込んでいったように、以外とハマるかもしれませんよ。