「2%達成時期削除」経緯報告へ 諮問会議、月内にも

東京都中央区の日銀本店(早坂洋祐撮影)
東京都中央区の日銀本店(早坂洋祐撮影)【拡大】

 政府が月内に開く経済財政諮問会議で、日銀は、4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で物価上昇目標の達成時期を削除した経緯を報告する方向だ。削除に対し批判が出る公算は小さいが、そもそも諮問会議は政府・日銀の政策協定で、金融政策へのチェック機能を求められている。デフレ脱却に向け責任を果たすよう、日銀に厳しく迫る姿勢が必要だ。

 日銀は4月27日に公表した展望リポートで、従来「2019年度ごろ」としていた物価上昇率2%の達成時期を、文面から削った。日銀が最初に物価上昇率2%を「2年程度を念頭にできるだけ早期に実現する」と掲げたのは13年4月。しかし実現は難しく、その後、達成時期は6回も延期された。

 度重なる延期に対し、諮問会議で批判が出た形跡はほとんどない。議事要旨によると、例えば日銀がマイナス金利を導入し、2%の達成時期を「17年度前半ごろ」へ1年先送りした直後の16年2月の諮問会議では、民間議員が、マイナス金利の内容について発信する重要性などを主張するにとどまった。

 ただ、政府・日銀が13年1月に結んだ政策協定では、諮問会議は「物価安定の目標に照らした物価の現状と今後の見通し」などの「検証を行う」とされている。金融政策の検討や不備を追及できず、時期の削除や先送りを追認するだけでは、金融政策に関する諮問会議の存在意義に批判が出かねない。