7人死亡事故 それぞれの人生 8月4日 放送
7月27日7時25分頃、岐阜県郡上市の東海北陸自動車道で、右前輪をパンクさせたトラックが、対向車線に飛び出し、家族5人を乗せた乗用車に衝突した。
パンクの原因は、トラックの過積載だと見られている。
この事故で一家5人、そしてトラックの2人が死亡した。

一家を事故に巻き込んだトラックを運転していたのは、名古屋市内で足場工事をする会社に勤める22歳の青年、竹村吉永さんだった。事故当日運んでいたのは、建設現場の足場を組むための資材。3トントラックに4トン半の資材を積んでいた。

様々な事情を抱え、トラックは高速道路を行き交っている。
ある運転手は「5トン車が5トン積んで走っていることは絶対にない。小さい会社は利益をあげるために…」。

夏休みの旅行で三重県の長島温泉に向かう途中だった山本さん一家の住まいは、世界遺産に指定されている岐阜県白川郷。
父・衛さん(48)は建設会社の社員。妻の美加枝さん(39)は父親が経営する旅館の女将。長女の麻里さん(16)は、高山市で下宿生活をしながら高校に通っていた。将来の夢は保育士になること。長男の隆司くん(14)はバレー部。次男・淳司くん(9)は図工が得意な男の子だった。
麻里さんが下宿しているので、休みの時にしか一家で旅行できない。年一回の小旅行を非常に楽しみにしていた。という。

事故当日、竹村さんの助手をしていたのはトルコ人男性。
妻と二人で出稼ぎにきていた彼がこの会社で働きだしたのは去年の8月。しかし、今年3月、妻は出産のためトルコへ帰国。男性はアパートで一人、暮らしていた。事故前日、同僚から出産祝いを受け取った男性。我が子の顔を見るのが楽しみだと言っていた。

地元には年に数回しか帰らず仕事に没頭していた竹村さんは、「独立して自分でやっていきたい」と会社の先輩によく夢を語っていた。

2年前の新聞で美加枝さんは、この道路についてこう語っている。
「あの時、東海北陸自動車道があれば、病院も近くなり、道も安心で、あんなに焦らないで済んだのに・・・」。麻里さんの出産時、この道路がなくて困った経験をもつ美加枝さんの言葉だった。
陸の孤島と言われていた白川村を名古屋や富山と繋げる大事な役目を果たしたのが東海北陸道だった。
しかし、全長185kmのうち、未完成部分が25km。しかも開通している部分も8割が片側一車線の対面通行道路。4車線化を進める予定だが、今回の事故現場周辺は工事のめどがたっていない。


 

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