基本・実施設計を延期 市立競技場 観客席の増設工事 競技施設は2ヵ年で改修(水戸市)

[2014/10/23掲載]
 水戸市は市立競技場の改修事業で、本年度に観客席増設の基本・実施設計策定を計画していたが、27年度以降に延期されることが決まった。5000席の客席を確保するには両翼の芝生席を客席化するだけでは足りず、敷地の拡張が必要となったため。本年度は用地の取得に努める考えで、設計の発注は用地の状況次第となる。28年度の増設工事完了としていたスケジュールも延期が余儀なくされ、事業費も大きくふくらむと予想される。

 市立競技場は小吹町地内に立地し、昭和62年に開設された。現在の施設はRC造およびS造で、約4600平方mの規模となる。この競技場は当初、収容人員がメインスタンドのみ約5000人で、夜間照明をはじめ得点掲示板、時計、放送席も無く、設備が全く足りなかった。

 設備の不備を陸連側から指摘されたことや老朽化の進行から、市は水戸ホーリーホックのホームスタジアムとして使用することを前提に、19年度から21年度にかけて全面的に改修。バックスタンド席の座席化やメインスタンド屋根の大型化、大型映像装置・ナイター照明の新設、駐車場の拡大など、Jリーグの規定に適合する施設として改修工事を行ない、名称も「ケーズデンキスタジアム水戸」に改めた。

 これにより、現在の収容人員は約1万2000人となったが、うち2000人分は芝生席のままで、Jリーグ規定では収容人員に含まれない。J2基準の1万人はかろうじてクリアしているが、J1昇格のために必要なJ1クラブライセンスが取得できない状況となっている。

 このため市は、観客席の増設計画を第6次市総合計画に盛り込み、あわせてこれまでの第2種から第1種公認陸上競技場へと整備し、サブグラウンドや駐車場など周辺設備も拡充して、サッカーや陸上競技などの国際・全国大会を誘致する考えを示していた。

 観客席の増設計画の具体化を図るため、25年度は基本計画の策定を日総建(本社・東京都渋谷区)に発注。基本計画書の立案や配置計画、建築計画、構造計画、設備計画、外構計画、計画説明書の作成および工事概算書の作成などを実施した。

 仕様は、客席を現在のメインスタンド7000席、バックスタンド3000席から、1万5000人以上が入場可能となるよう増設するもの。客席は全て個席とし、観客席(バックスタンド)にも屋根を架ける。JリーグJ1ライセンス基準を満たすとともに、第1種陸上競技場と兼用する。また、駐車場の整備の検討や雨水の処理など、開発行為関係の検討を行っている。

 敷地計画の中で、現敷地で増設が可能か、あるいは敷地増が必要か検討した結果、敷地増が必要との結論に達した。メインスタンド側は前回の改修で拡張し屋根を設けており、両翼側は道路や小吹水源池に面していることから、現実的にはバックスタンド側の敷地を拡張することとなる。

 現在は、このバックスタンド側の隣接地の取得に向けた協議や手続きを進めているところ。取得の見通しが立てば基本・実施設計の策定に入りたいとしているが、時期は流動的だ。このため、27・28年度の2ヵ年で増設工事を行うスケジュールも未定となっている。

 スタンドの増設と並行し、傷みが目立つトラックの舗装やインフィールドの天然芝は、28年度の公認陸上競技場認定の更新前に改修を進める。本年度当初予算には、インフィールド・トラックの改修工事に2ヵ年継続費3億円(26年度1億2000万円、27年度1億8000万円)を設定した。

 9月には、インフィールド改修工事を株木建設・昭和建設JVに1億2780万円で発注。ビックロール工法による天然芝舗装7720平方mのほか、暗渠排水工932mやポップアップスプリンクラー48ヵ所の設置などを230日間の工期で施工する。

 このほか、暗渠排水工に先立って別途、芝撤去工事を発注する。市内造園業者を対象に、28日に一般競争入札を行う。27年度には、トラックの改修工事を実施する計画となっている。

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