浜辺美波、まるで本物の“シンデレラ”主演「君の膵臓をたべたい」２８日公開！

　澄んだ瞳、屈託のない笑顔。桜良がスクリーンから飛び出してきたようだ。

　２月に公開された「咲―Ｓａｋｉ―」に続く映画主演に、浜辺は「気合が入りましたね。（主演は）やりたくてできるものではないので、うれしいです」と声を弾ませた。演じたのは、重い膵臓の病を患う女子高校生。余命を宣告されながら、友達や家族に悟られないようにと、笑みを絶やさない。「桜良ちゃんの魅力は笑顔。心の底から笑顔を作るように意識しました。自分の病気をジョークにしちゃうような女の子だけど、ちゃんと死と向き合っている。天真爛漫（らんまん）なだけじゃない。ふとした時に恐怖、孤独を感じる瞬間があることも忘れずに、ワンシーン、ワンシーンを演じました」

　病気を唯一知ることになるクラスメートの僕（北村匠海）とのシーンが中心。原作にない１２年後の現在が描かれ、現在と過去が交錯しながら物語が進む。桜良は、僕を「仲良しくん」と称するが、親友や恋人関係になるまで踏み込んだりせず、独特の距離感で接していく。「僕とのかけ合いのシーンは毎回、すごく苦戦しました。これまでで一番悩んだ作品です。（監督の要求通り）体が動かないこともあった。少しずつ感覚でつかんでいきました」

　撮影期間中、月川監督との本読みが日課のようになっていた。「クランクインしてからも、宿泊先のホテルで何度も読み合わせをやりました。大丈夫かな～と、不安に思うことばかりだったけど、監督がセリフに入るタイミングだったりを細かく指導してくださいました」。報われたと感じたのは試写の時だった。「全編を通して泣いてしまいました。どういう展開、結末になるか分かっているのに、感動して。素晴らしい作品に仕上げてくださって、監督には感謝の気持ちでいっぱいです」

　浜辺は、１１年の「東宝シンデレラ」オーディションで芸能界入りした。当時小学４年生、母親の勧めだった。「女優さんになりたかったわけではなく、歯医者さんになりたかったんです。だから全く乗り気じゃなかった（笑い）。別に落ちるからいいかって。どこまでいけるかが楽しみな感じでした。オーディションでは、だんだんと増える知らない大人の数にドン引きしていた。怖いって（笑い）」。自己ＰＲで登壇した際、人生で初めて履いたハイヒールが脱げるハプニングもあった。「所々だけど、ちゃんと覚えています。靴が脱げた瞬間の焦りとかは、はっきりと。なぜ、あそこで履き直さずに手で持ってステージを降りたのか。今でも分からないです（笑い）」

　中学までは石川県で生活し、仕事の度に上京していた。１６年春に卒業し、都内の高校に進学した。「１年半が過ぎたけど、一度もホームシックがない。お母さんに落ち込まれるぐらい（笑い）。東京の生活を楽しめるまではいっていないけど、適応できているのかな」。夢はミステリー作品の主人公を演じることだ。「今は、いただいたお仕事に何でも挑戦したい気持ちが強いので、いつかやってみたい。かわいいより、決めゼリフがあるような格好いいキャラクターを演じてみたい。目標は、女優さんを続けること。役柄に寄り添ったお芝居をしたいです」

　桜良役と向き合った２か月間。浜辺は「（撮影中は）余命を宣告されている気持ちに、できる限り寄り添おうと。見える景色、感じ方が変わった気がします。今は草木や四季の移り変わりを見ると、『美しい』と感じる瞬間が増えました」。心身の成長を明かした。