INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー
2017.8.1
緑黄色社会が『ADORE』に込めた等身大の気持ち
「5曲それぞれカラーが違って面白いので、ぜひ最初から通して聴いてほしい(長屋)」
今年1月にリリースしたミニアルバム『Nice To Meet You??』から7ヶ月、早くも2枚目のミニアルバム『ADORE』を完成させた緑黄色社会。今自分たちがやりたいことを詰め込んだという今作は、バンドサウンドを押し出しながらもそれぞれにカラーがあり聴く者を楽しませてくれる。その今作について、緑黄色社会のメンバー全員に話を訊いた。
取材・文 坪井
—8月2日にミニアルバム『ADORE(読み:アドーア)』がリリースされますが、今年に入って2枚目になるので結構ハイペースですね
長屋晴子(Vo/Gt):でも、今回収録されている曲には前に作っていた曲もあるんです。
小林壱誓(Gt/Cho):前作の『Nice To Meet You??』に入っている曲より以前に作った曲が3曲入っているんですよ。
長屋:その時は自分たちに合わないかもと思って取っておいた曲が、最近になっていいかもとなったので今回入れました。
—そうだったんですね。前回のタイトルは『Nice To Meets You??』で「初めまして」という意味でしたが、今回のタイトル『ADORE』にはどのような意味が込められているんですか?
長屋:『ADORE』を直訳すると「憧れ」「崇める」なんですけど、収録されている5曲の歌詞やアレンジにおいて、私たちの理想や憧れ、やりたいことを詰め込めたので、このタイトルにしました。
—サウンド面では、前作にも増してバンドサウンドが押し出されているなと思ったんですが、意識して作りました?
長屋:前回は打ち込み曲に挑戦したので、今回はよりバンドサウンドを意識しようと。アレンジもそれに向けてみんなで考えました。
—その代表曲でもある『始まりの歌』は疾走感があって、緑黄色社会のイメージがちょっと変わるんじゃないかと
長屋:私もそう思います。狙ったわけではないですが、緑黄色社会の曲はいろいろな方向性があるんだよというアピールもしたかったので。『始まりの歌』は3年前にできた曲なんですが、当時はもうちょっとカッコいい曲を作りたいなという時期だったので、今の自分たちには似合わないと思って1、2回ライブでやったきり封印していたんです。
小林:ちょっとポップすぎるかなと思って。でも、僕は<君は越えていったんだ僕のキャパシティを>という表現がすごく好きだったし、キャッチーだなと思っていたから、いつかやりたいと思っていました。それはみんなも同じだったんだよね。
長屋:作った私も好きでしたけど、その当時はこの曲をやることに恥ずかしさというか照れがあったんです。でも、今はそういう気持ちは一切なくて、むしろやっていこうよという気持ちになって。
peppe(Key/Cho):うん、今は自信を持って演奏できるよね。
穴見真吾(Ba/Cho):昔に作った曲ですが、アレンジは当時と全然違うんです。
長屋:だいぶ変えました。
—次の曲『want』は超シンプルに願望を箇条書きで書いている感じで分かりやすいですね
長屋:そうですね(笑)。結局シンプルが一番伝わりやすいなと思って。初めてこんなにシンプルな歌詞を書いたと思います。
小林:サビの表現はシンプルだけど、そこに向かっていく過程はシンプルじゃないと思うよ。<ふさふさのパンダに乗りたい>って歌詞を見て、誰もシンプルだと思わないよね(笑)。
長屋:笑。
—歌詞がシンプルな分、アレンジは凝っているなと
peppe:結構凝ったよね。
長屋:うん、フレーズが面白いのでそこをぜひ聴いてほしいですね。
小林:バッキングをエレキでやったらロックな感じになりすぎたので、あえてアコギでバッキングを弾いたりしているんですよ。
—そういうのも含め、全体的に楽しい感じに仕上がっていますよね
長屋:遊園地をイメージしてアレンジをしていったので、楽しい感じは出ていると思います。
真吾:結構振り切ったフレーズを付けて、それに対してメンバーが応えるというキャッチボールでできていったので楽しかったですね。
長屋:この曲は、ライブで楽しい曲にしたいというのもありました。音が完成してからまだライブでやっていないので、早くやりたいです。
—楽しみですね。そして『キラキラ』は女性目線の歌詞なのかなと思いましたが、長屋さんは何をイメージして書いたんですか?
長屋:女性の主観もあるんですけど、人のすれ違いをテーマに歌っています。これは男女間だけじゃなく、家族や友達間にも当てはまることだと思っているので、たくさんの人に聴いてほしい曲ですね。
—男性の壱誓くんはこの歌詞を読んでどう思いました?
小林:この曲も2年ぐらい前の曲で、女性の気持ちなんだなと思いつつも、<ただふたりキラキラ笑って並んでいたかったそれだけのことがわたしときみには難しかった>の部分は男女共通だなという共感は最初からありました。『またね』みたいに、「女性はこんな気持ち抱くんだ」ということは思わなかったですね。
長屋:人によって合う合わないがあるのは悪いことではなくて、それを受け入れられることで「こういう人もいるんだ」とすれ違いも受け止められるかなと。何でもかんでも誰かのせいにするのは良くないなと感じて作りました。
小林: 1Bの<何も知らないくせに、って知らせなかっただけなのにね>という歌詞は、当時の長屋の等身大の気持ちが出ているなと思いましたね。
peppe:私もその歌詞には演奏しながら毎回共感していて、聴いている人に「伝われ!」と思って弾いています。
長屋: Bメロの歌詞はみんなにグサってなってほしいです。誰かのせいにしちゃう心当たりは誰にでもあると思うので(笑)。
—確かに。そして4曲目『恋って』はpeppeさん作曲ですが、どのようなイメージで曲を書いたんですか?
peppe:ライブでお客さんと一体感を出したいなと思って、みんなで手を叩くイメージから作りました。
長屋:仮タイトルが…。
peppe:英語で“CLAP”(笑)。イメージを作って、前回の『Bitter』のような化学反応を期待して歌詞を長屋に丸投げしたんですけど…。
長屋:私はそれを感知して作っていたわけではなかったので、曲を聴いて出た詞は全然CLAPと関係がなかったという(笑)。
小林:でも、前回の『Bitter』も今回の『恋って』も、peppeの曲に長屋が歌詞を付けると、より女の子らしくなるんだなと思った。
長屋:私が曲を作るとそうはならないんですけど、peppeの曲だからこういう歌詞が出るのかなと。
—peppeさんは長屋さんの歌詞を見てどう思いました?
peppe:えっ!恋愛系!?って(笑)
長屋:全然CLAPじゃない!みたいな(笑)。
peppe:どこでCLAPするんだ?って(笑)。でも、『Bitter』みたいな感じに作ってくれてうれしかったです。今回はこの曲も含め恋愛系の歌詞の曲が続いているんですけど、それぞれ全然違うキャラクターで面白いなと思います。
長屋:私の中での『恋って』の主人公はOLさんなの。
小林:えっ!自分じゃなかったんだ。
長屋:そう。初めて言う(笑)。OLさんが初めて恋をする感じ。
小林:ちょっとピュアなOLさんね。
—そういう想像をしながら作るは楽しそうですね
長屋:自分の気持ちを交えながら、理想や妄想を組み込んでいくのは楽しいですね。
小林:長屋の曲って、最初は暗い歌詞だったとしても最終的には前向きに終わるというか、最後にちゃんとオチがあるよね。この曲なら、最後の言葉<なんてね>だと思う。今回のアルバムのタイトルでもある、理想や本当はこうしたいという願望みたいなものがオチになっているところがいいと思いました。
長屋:私自身がまだまだいろんなことを経験している途中で、実体験よりも理想の方が多いからこうだと言い切れることは少ないけど、今だから書ける歌詞が書けたと思っています。
—確かにそう思います。そして最後の曲『それなりの生活』はバラードですが
長屋:これが一番歴史ある曲だね。
peppe:うん、すごく古い曲。
長屋:弾き語りをする機会をもらった時に、自分と向き合って作った曲です。4年前ぐらい前からずっとやっている大事な曲ですね。
—これまで入れずに、どうして今回入れることにしたんですか?
長屋:会場限定の音源に入れたことはありますが、全国盤で出すのは初めてです。
小林:前回でいうと『丘と小さなパラダイム』的な立ち位置ですね。
長屋:昔の曲を入れましたシリーズ(笑)。どの曲を入れるか悩んだんですよ。『それなりの生活』は大事に歌ってきたし、会場限定の時からアレンジも変えたので…。
小林:このタイミングで入れるのがベストなんじゃないかと。
—なるほど。改めて完成した『ADORE』を聴いてどう思いました?
長屋:完成したらこの5曲たちがキラキラしてるし、流れもいいと思っています。5曲続けて聴くのがすごく楽しいんですよ。おすすめです(笑)。
peppe:前作「Nice To Meet You??」を聴いて、リード曲以外の曲も好きだと言ってくれる人が結構いて、今回もそういう風に思ってもらえると思います。
長屋:前作も今作も入っている曲は結構キャラクターが違うので、全部が当てはまらなくてもよくて、その時にその人が求めている曲に出会ってもらえればいいなと思っています。よりたくさんの人に届いてほしいですね。
—個人的には今後への期待を抱かせてくれる作品だなと思いました
小林:ありがとうございます。前作と今作で僕ら的には自信のある作品ができたと思っているので、更新していかなければいけないプレッシャーもありますけど、次作を作るのが今から楽しみです。
長屋:真吾や壱誓も曲が作れるので、今後は違う色も期待してもらえればと思います。
—楽しみにしています。では最後に『ADORE』を買ってくれる人に向けてメッセージをお願いします
長屋:今回も自信を持って出せる作品ができたと思っています。5曲それぞれカラーが違って面白いので、ぜひ最初から通して聴いてください!
緑黄色社会『始まりの歌』
■リリース情報
『ADORE』
2nd Mini Album
2017.8.2リリース
1,620円(tax in)
■LIVE情報
緑黄色社会ワンマンツアー2017“東名阪 Nice To Meet You??”
11月23日(木祝) 東京渋谷TSUTAYA O-CREST
12月02日(土) 大阪梅田シャングリラ
12月10日(日) 愛知名古屋E.L.L
■オフィシャルWEB
http://www.ryokushaka.com
■プロフィール
2012年活動開始。ボーカル長屋晴子の力強く透明で時に愛らしい独特な歌声、キーボードpeppeの型にはまらないフレーズ、ギター小林壱誓の柔らかいコーラス、バンドを支える最年少、穴見真吾のベースライン。同級生3人と幼馴染で組まれ、お互いを知り尽くした4人がそれぞれの個性を出し合い、様々なカラーバリエーションを持った楽曲を表現し続けている。2013年の『閃光ライオット』で準グランプリを獲得。これまでに自主制作音源『ノンカテゴリ』『ラストプレゼント』『リアリズム』をライブ会場限定で発売(完売)。そして、2017年1月11日に初の全国流通盤となる1stミニアルバム『Nice To Meet You??』をタワーレコード限定でリリース。4月7日には初のワンマンライブをell.FITS ALLにて開催、SOLD OUT。
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