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脂質異常症(高脂血症)

2.なぜ起こる?

遺伝や他の病気が原因でない脂質異常症は、食べ過ぎや飲み過ぎ、肥満、運動不足などが原因となって、発病します。

体内での脂質の動き

脂質異常症がなぜ起こるかを理解するために、まずは体の中で脂質がどのように動いているのかを理解しましょう。

脂質は、私たちの体の機能を保つために大切な働きをしています。コレステロールは、細胞の材料となって私たちの体を作るという大きな役割を持っているほかに、ホルモンや胆汁酸の材料にもなっています。トリグリセライド(中性脂肪)は、糖やタンパク質の2倍以上の熱量を出すエネルギー源として働いています。

脂質には、食事から体内に吸収されるものと、肝臓や腸などで作られるものがあり、これらは、その役割を果たすために、血液の流れに乗って全身の細胞に運ばれる必要があります。しかし、脂質はそのままの状態では血液に溶け込むことができないため、タンパク質などの物質とともに「リポ蛋白」という粒子になって血液中に存在しています。リポ蛋白には、カイロミクロンやVLDL、LDL、HDLなどの種類があり、それぞれの役割を持って、全身を巡っているのです。

コレステロールは、リポ蛋白のひとつであるLDLによって体の隅々まで運ばれ、細胞の中に取り込まれます。LDLに含まれるコレステロールをLDLコレステロールと言います。

LDLの構造

LDLの構造の図 拡大する
コレステロールには、脂肪酸と結合したコレステロールエステルと、脂肪酸と結合していない遊離型コレステロールの2種類があります。
LDL中のコレステロールエステルと遊離型コレステロールをあわせたものをLDLコレステロールと言います。

細胞に運ばれたコレステロールが利用しきれずに余っている場合には、HDLの働きによって肝臓に戻されます。HDLに含まれるコレステロールをHDLコレステロールと言います。肝臓に戻ってきたコレステロールの一部は、胆汁酸に変化して十二指腸に排出されますが、その多くは腸で再び吸収され、また肝臓に戻ってきます。

体内のコレステロールのうち、食物から吸収される量は、体内で作られる量の1/3くらいです。健康な状態であれば、コレステロールを多く含む食事をとっても、体内で作られるコレステロール量が減るため、体内のコレステロールの量は一定に保たれます。

体内での脂質の動き

体内での脂質の動きの図 拡大する

病気のしくみ

遺伝やさまざまな病気、肥満、コレステロールの多い食事を続けることなどによって、HDLによるコレステロールの運搬がうまく働かなかったり、コレステロールの排泄や再吸収のシステムに支障が生じたりすると、高LDLコレステロール血症や低HDLコレステロール血症が引き起こされます。

LDLコレステロールは、組織に運ばれる途中のコレステロールであり、血液中のLDLコレステロールが高すぎると、コレステロールが血管の壁に取り込まれて動脈硬化が進みやすくなります。このため、LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」とも呼ばれます。

HDLコレステロールは、組織に余っていたコレステロールがHDLに回収されて肝臓に戻る途中のコレステロールです。このためHDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれます。この値が低いと血管の壁にたまったコレステロールを引き抜いて肝臓に戻すことができなくなり、動脈硬化が進みやすくなります。

食事からのエネルギーのうち、使いきれずに余ったものは、肝臓でトリグリセライド(中性脂肪)に変えられ、血液中を移動し、皮下脂肪や内臓脂肪に蓄えられます。したがって、食べ過ぎ、飲み過ぎや運動不足でエネルギーがたくさん余ると、血液中のトリグリセライド(中性脂肪)の量が増え、高トリグリセライド(中性脂肪)血症が引き起こされることになります。トリグリセライド(中性脂肪)が高いと動脈硬化が進みやすくなると考えられ、極端に高くなると急性すい炎を引き起こす危険性もあります。

遺伝と生活習慣

脂質異常症には遺伝が関係するものがあります。とくに、「家族性高コレステロール血症」は、LDL受容体(肝臓にたくさん存在し、血液中のLDLコレステロールを引き込む働きをしています。このためLDL受容体が少ないと血液中のLDLコレステロール値が高くなります。)が生まれつき少ないために発病するもので、日本人の500人に1人程度がこのタイプであることが分かっています。そのほかにも遺伝によってコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)が高くなる「家族性III型高脂血症」もあります。これらのタイプの方は、生活習慣とは関係なく、脂質異常症になりやすいと考えられています。

一方、このようなはっきりとした遺伝とは別に、例えば家族に脂質異常症の方がいるなど、脂質異常症になりやすい体質の方もいます。しかし、食事や運動などに気をつければ脂質異常症にならないようにすることができます。逆に、脂質異常症になりやすい体質がなくても、生活習慣の問題が大きければ脂質異常症になることもあります。メタボリックシンドロームは生活習慣の問題によって起こり、脂質異常症にも繋がる代表的な状態です。こうしたことから脂質異常症は生活習慣病のひとつに挙げられているのです。

なお、生活習慣の変化などにより、近年、脂質異常症などの生活習慣病の予備軍の方が増えてきています。このような予備軍の方を、早く見つけ、生活習慣を改善することで病気になることを防ぐことを目的として2008年4月より、メタボリックシンドロームに注目した特定健康診査・特定保健指導が始まりました。

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