ほのぼのとしたおばあちゃん役で、映画やドラマ、CMで活躍、現役最年長の女優として知られた原ひさ子(はら・ひさこ=本名・石島久)さん=写真=が4日午後9時32分、心不全のため、東京都内の病院で死去した。96歳。静岡市出身。通夜は9日午後6時から、告別式は10日午前10時から、いずれも東京都荒川区町屋1の23の4の町屋斎場で。喪主は長男、石島眞一氏。
所属事務所の俳協によると、原さんは4日夕方に都内の自宅で家族と夕食中に突然倒れ、救急車で病院に運ばれた。その途中で心肺機能は停止しており、病院で死亡が確認されたという。
原さんは静岡の旧制不二高等女学校を卒業し、花嫁修業をしていたが、女優で自立する道を求めて上京。昭和8(1933)年前進座に入り、原緋紗子の芸名で、新橋演舞場の「牛を喰らふ」の街娘役で初舞台を踏む。その後、戦前の名作映画「人情紙風船」(山中貞雄監督)に出演などし、17年に東宝専属に。戦後、21年には黒澤明監督の「わが青春に悔なし」にも出演するなど、脇役ながら、さりげない芝居の中に、人柄をしのばせる存在感のある女優だった。また、35年には俳優とマネジャーによる生活協同組合として知られる俳協の設立にも参加した。
近年はテレビCM、バラエティーに出演したり、俳句の本を著すなど多彩なところも見せていた。昨年撮影され、今年公開された映画「サヨナラCOLOR」(竹中直人監督)が最後の作品となった。
ZAKZAK 2005/12/06