プロ野球北海道日本ハムの新球場構想で20日、北広島市が独自の誘致構想を球団に提出したことを巡り、札幌市は現在の本拠地・札幌ドーム(札幌市豊平区)への残留を球団に求める方針をいったん棚上げし、市内の建設候補地の選定を急ぐ。ドーム残留を求めるだけでは「札幌市外移転」が現実になりかねないためだ。ただ新球場の実現性ははっきりせず、残留に向けた方策も用意する。

 「他の自治体も早い動きなので、われわれもしっかり考えなければならない」。日本ハム球団が親会社の日本ハム本社(大阪)と新球場構想を検討する特別チームの設置を発表した19日、札幌市の秋元克広市長は、市内での新球場の候補地探しを急ぐ考えを示した。「他の自治体」とは、新球場誘致を積極的に進める北広島市のことだ。

 札幌市は球団にドーム残留を訴え、ドームの野球専用化を示したが、球団側は「望んでいない」と答え、協議は手詰まりになった。

 これに対し北広島市は20日、独自の構想を球団に提案し、意欲をアピールした。札幌市にとってドーム残留だけでなく札幌市内の残留にも失敗すると、札幌市民の反発を招いたり、市内への経済効果が見込めなかったりと痛手が重なる。そこで秋元市長はドーム残留を脇へ置き、市内での新球場建設の可能性を探るよう関係部局に指示した。