馬を讃える

日高町で生まれた名馬たち

人々の記憶のなかで色褪せることなく
いつまでも走り続ける、あの勇姿。
日高町が輩出してきた、競馬界の歴史に残る名馬をご紹介します。

中央競馬の名馬

キタノカチドキ

生産:佐々木節哉
生年:1971年
調教師:服部正利(栗東)
主戦騎手:武邦彦
生涯成績:15戦11勝

1973年・阪神競馬場の新馬戦でデビュー勝利。以降、74年の皐月賞まで7戦連続優勝を飾る。続く東京優駿(日本ダービー)では3着に終わったものの、神戸新聞杯、京都新聞杯、菊花賞を3連勝。ジャックナイフとも形容された切れ味鋭い走りは、従来のスタミナ勝負の競馬をスピード重視へ転換を促すきっかけになったといわれる。

シンボリルドルフ

生産:日高シンボリ牧場
生年:1981年
調教師:野平祐二(美浦)
主戦騎手:岡部幸雄
生涯成績:16戦13勝

「皇帝」の異名を取る強さで未曾有の競馬ブームを創出した馬。1984年、皐月賞・東京優駿(日本ダービー)・菊花賞のクラシック競走を制し、史上4頭目の、そして初の無敗による三冠を達成した。好位差しを得意としつつ脚質は自在。鞍上の主戦・岡部に「競馬を教えてもらった」と言わしめた。生涯唯一の着外はアメリカに遠征してのサンルイレイステークス。レース中の故障を原因とする6着に終わり、そのまま引退した。種牡馬としても活躍し、トウカイテイオーをはじめ有力な産駒を多数輩出。種牡馬引退後も元気な姿を見せていたが、2011年10月、千葉のシンボリ牧場で30年の生涯を閉じた。

スーパークリーク

生産:柏台牧場
生年:1985年
調教師:伊藤修司(栗東)
主戦騎手:武豊
生涯成績:16戦8勝

左前脚の外向という身体的な問題が嫌われ、セリでなかなか買い手がつかないという受難が、スーパークリークの競走馬としての出発点だった。しかし新馬戦を2着でデビューし素質を証明。1988年の菊花賞で天才騎手・武豊にGI初勝利をプレゼントし、さらに89年秋の天皇賞、90年春の天皇賞など大きなレースでオグリキャップやイナリワンらライバルを抑え、先頭でゴールを駆け抜けた。長距離馬として育てられたもののスピードにも恵まれた、ステイヤーでありマイラーでもあった。サラブレッドには珍しく性格が穏やかで、落ち着きのある馬だったという。

イナリワン

生産:山本実儀
生年:1984年
調教師:鈴木清(美浦)ほか
主戦騎手:柴田政人ほか
生涯成績:25戦12勝(うち地方競馬14戦9勝)

南関東の大井競馬場でキャリアをスタート(福永厩舎)。86年の新馬戦から翌年の東京湾カップ(船橋)まで出走8レースすべて優勝を飾る。さらに88年の東京大賞典を制した翌年、鳴り物入りで中央競馬へ移籍、美浦の鈴木厩舎へ入厩。春の天皇賞・宝塚記念を連勝、毎日王冠2着、有馬記念優勝と、才能を存分に発揮し、89年のJRA賞年度代表馬に選ばれる。オグリキャップ、スーパークリークとともに「平成の3強」と称された。引退後は種牡馬生活などを経て個人所有となり、幸せな余生を送っているという。

ミホノブルボン

生産:原口圭二
生年:1989年
調教師:戸山為夫(栗東)ほか
主戦騎手:小島貞博
生涯成績:8戦7勝

美浦トレセンの坂路で鍛え上げるのが戸山厩舎のメソッド。その厳しいトレーニングから生まれたミホノブルボンは、まさにサイボーグの別称どおりの強さでターフを駆け抜け、ライバルたちを置き去りにした。1991年のJRA賞最優秀3歳牡馬(現在のJRA賞最優秀2歳牡馬)に選出。92年皐月賞・東京優駿(日本ダービー)・京都新聞杯を制してデビューから7戦7勝。この年の年度代表馬となる。唯一の敗戦はライスシャワーの後塵を拝した菊花賞の2着であり、出走数は多くないものの全レース連対は見事としかいいようがない。

スペシャルウィーク

生産:日高大洋牧場
生年:1995年
調教師:白井寿昭(栗東)
主戦騎手:武豊
生涯成績:17戦10勝

父サンデーサイレンス、母父マルゼンスキーという超良血。1998年の3歳クラシック戦線ではセイウンスカイやキングヘイローとしのぎを削り合うなかで、武豊にダービージョッキーの栄誉をもたらす。古馬になってからはグラスワンダー、エルコンドルパサーと名勝負を繰り広げた。立ち回りの巧みさに加え、サンデー産駒ならではの末脚のキレを武器に、G1を4勝など17戦10勝をあげる。99年の有馬記念2着を最後に引退し、種牡馬入り。産駒には日米両オークスを制したシーザリオ、6冠馬ブエナビスタをはじめ、芝・ダートを問わず多数の重賞馬が目白押し。また、ブルードメアサイヤーとしても菊花賞馬エピファネイアを出すなど、優秀さを存分に発揮している。

エスポワールシチー

生産:幾千世牧場
生年:2005年
調教師:安達昭夫(栗東)
主戦騎手:佐藤哲三
生涯成績:40戦17勝

G1勝ちは中央・地方合わせて日本競馬史上最多タイの9つ。8歳で交流G1を2勝するなど、息長く活躍したダートの王者だ。2008年に芝馬としてデビュー、500万下でダートへ転向すると、とんとん拍子でオープンへ昇級。主戦・佐藤騎手がつききりで調教した成果はすぐに実り、09年のジャパンカップダート、翌年のフェブラリーステークスを連勝するなど、まさに人馬一体で頂点へ駆け上がった。ハイペースにも、スローな流れになっても対応できる自在さ。スランプに陥ってもそのたびに乗り越え、復活してみせたタフな精神力。いずれも超一流馬の証明にほかならない。09年・10年のJRA最優秀ダートホース。またNARグランプリダートグレード競争特別賞馬にも2度選ばれている。

ホッカイドウ競馬の名馬

コトノアサブキ

生産:山本実儀
生年:1975年
調教師:黒川武(北海道)ほか
主戦騎手:佐々木一夫(北海道)ほか
生涯成績:30戦23勝

ホッカイドウ競馬最強とも謳われる快足の栗毛。1977年、川崎競馬場で走り始める。デビューから3連勝を飾るも一時調子を落とし、名古屋へ移籍。その後は1年の休養と北海道への移籍を挟んで13連勝を果たした。古馬となっても勢いは止まらず、81年の道営記念で10着に沈んだ以外はまさに無敵。82年には大井競馬場での中央競馬招待で2着に入り、地力の高さを示した。ホッカイドウ競馬所属となってからの18戦を16勝という圧倒的な勝率は金字塔といえるだろう。

クラキングオー

生産:倉見牧場
生年:1997年
調教師:堂山芳則(北海道)
主戦騎手:堂山直樹(北海道)
生涯成績:35戦12勝

入厩時は見どころのある馬とは目されていなかったが、次第に才能を発揮し始め、2歳競走で3勝、3歳で函館競馬場の中央競馬に乗り込み同着優勝。さらに王冠賞、北海優駿と3歳二冠を勝利する。またステイヤーズカップは01年・02年と連覇。しかし03年、サクラローレル賞の競走中に右前脚を複雑骨折。牧場スタッフや獣医師の懸命な治療により予後不良の危機を回避。引退し、功労馬として過ごしたのち種牡馬入りする。2010年、放牧中に息を引き取るも、産駒のクラキンコが牝馬として初の北海道三冠を達成するなど、強さの血統を受け継いでいる。

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