那須から多摩へ、海城中学・高校の避難生活

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 全寮制の那須高原海城中学・高等学校(栃木県)は東日本大震災で多大な被害を受けた。生徒は全員無事だったが校舎はほぼ全壊、ライフラインも情報も遮断された中、教室で肩を寄せて一夜を明かした。翌朝バスで着の身着のまま新宿の海城中学・高等学校に。連絡がとれた生徒は保護者が引き取り、他の生徒はホテルで1週間過ごす。新宿校では両校の体育館等の調整が出来ずにいた所、桜美林大学から多摩アカデミーヒルズ提供の申し出があり、5月9日多摩へ。65名の生徒はヒルズに寄宿。6月1日より多摩市立旧豊ヶ丘中学校施設で体育の授業再開。2学期からは芸術の科目も行われる予定という。
 見知らぬ土地での避難生活はさぞかし辛いのでは、「中・高一貫で寮も異学年が同室で生活しているので仲間意識も強く互いにサポートしている」とのこと。「多摩市や地域の皆さんに受け入れて頂き、また豊中ОBの方からはサッカーボールも届けて頂き大変励みになります」と関口雄介教頭先生。市では来年3月末迄としているが、那須に戻れる見通しは全く立たない。同校の理念に「21世紀の地球を託せる紳士の育成」とある。慣れない多摩の自然や文化に触れ、非常時を乗り切って日本の未来を切り拓いて欲しい、と願う。 110701号掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加