「遅発月経」
初経は16歳までに大多数の女性にみられますが、ない場合には、初経が来るのか来ないのか、診察にいけばいいのかなど心配でしょう。
遅発月経とは
思春期には、乳房の発育、陰毛の発生とともに、初潮(初経)が起こりますが、それらは個人差があるのです。初潮(初経)も必ずしも同じ頃に起こるとは限りません。早く始まることもあり、遅く始まることもあるのです。現在わが国の平均初潮(初経)年齢は12歳ですが、月経が始まる年齢により右のように分類されます。つまり10歳から16歳までに初潮(初経)があれば「正常」ですが、それよりも早ければ「早発月経」、それよりも遅く始まれば「遅発月経」なのです。
どれくらいの頻度
16歳以降に初潮(初経)が始まるのは、全体の1%弱なのです。99%は16歳まで始まるのです。つまり16歳になっても初経がないのは100人に1人の割合なのです。
なぜ遅いのですか
生活環境、栄養、スポーツ、心理的要因、遺伝的要因、などさまざまな原因があるとされてはいますが、単一の原因で起こるというよりも、複合していると考えるのが普通です。しかも原因が分らないいわゆる特発性も少なくないのです。
診断は
診断は非常に簡単です。満16歳になっても初経がなければ「遅発月経」か「原発無月経」のどちらかと診断できるのです。つまり
1. 放置してもやがて自然に月経がくる遅発月経なのか、
2. 18歳になっても月経が来ない
原発無月経
なのか、
を鑑別すべきなのです 。
いつ受診すれば
上のように16歳で初経がなくても、その後に月経が来るのか、来ないのかを鑑別できれば良いのですが、完全に識別することは難しいのです。つまり16歳時点で検査などにより鑑別できる場合(原因)とできない場合があるのです。しかし一般的には16歳時点で初経がなければ診察・検査しておくべきでしょう。
検査は
検査は、「将来も月経が起こらない病気であるのかどうか」を診断するために行うのです。実際には、
(1)
子宮や膣があるかどうか
(2)
卵巣があるかどうか
(3)
染色体異常があるかどうか
(4)
脳下垂体の働きは正常かどうか
(5)
他の第二次性徴(陰毛、乳房)はどうか
を診断するのです。したがってはじめの検査・診察は、
(1)
陰毛・乳房の状態を視診(目で視る)
(2)
外陰部・膣の診察
(3)
子宮の超音波検査(多くはお腹の上から)
(4)
血液によるホルモン検査
(5)
血液による染色体検査
です。もちろんこれらの検査・診察で不十分と判断されれば、
(6)
MRI 検査(脳や骨盤)
(7)
泌尿器科の診察
も追加されることもあります。
今後どうするのか
これらの検査で、膣、子宮、卵巣、血液中のホルモン値、性染色体が異常がなければ2年(18歳まで)は待ってもいいでしょう。18歳になっても初経(初潮)がなければ、ホルモン剤を服用して月経を誘発することも行うことになるでしょう。
【2005年11月更新】
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