§高知県の変わった日本一────────────────────────────────────
♪高知県には、日本一がたくさんあります。 例えば、ナスとミョウガの収穫量は日本一です。ここで紹介する高知県の日本一は、愛媛県の日本一でもあります。それは、日本で一番長い学校の名前です。その名前は、「高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山小学校」と「高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山中学校」です。長いですね。2県の小学生、中学生が一緒に勉強したり運動できることは素晴らしいことですね。2県の食文化を勉強できるとは、うらやましいですね。
§高知県の郷土料理────────────────────────────────────
♪高知県の郷土料理については、「
こぼれ話 Part 1」で、カツオ料理、皿鉢料理、酒盗などをお伝えしましたが、まだまだあります。
§「やいこ汁」────────────────────────────────────
☆「やいこ汁」は、高知県の土佐清水市・窪田地区に伝わる郷土料理です。朝どれのメジカ(宗田カツオ)を、生のまま手でたたいてミンチにしてから、さらにツミレ状にして鍋に入れます。タマネギ、ニンニク、豆腐などと一緒に煮ますが、食材を焼いてから煮ますので「やいこ」と名付けられました。ダシに宗田節を使いますので、旨味は格別なものです。舌の肥えた地酒会社の社長さんも絶賛しております。
§「鯨のハリハリ鍋」────────────────────────────────────
☆名前の「ハリハリ」は、具としてさっと茹でた水菜が、噛んだときに、口の中で「ハリハリ」と音がすることに由来しております。鍋には水菜のほかに豆腐、シイタケなどを入れますが、主役は、土佐の名物「鯨」の肉です。この肉には、赤身、腹部、舌の肉を使います。ダシには鰹節を使いますが、鯨肉から出る旨味が加わり忘れられないほどおいしくなります。最後には、うどんを入れて食べます。最近は、鯨肉を食べるのが難しくなりましたので、貴重な鯨料理ではないでしょうか。
♪土佐湾では、鯨がたくさんとれました。よさこい節にも「おらんくの池にゃ、潮吹く魚が泳ぎよる」とありますが、「おらんく池」は「土佐湾」、「潮吹く魚」は「クジラ」を指しております。
♪高知県には、そのほか、特産のサンショウを使った「山椒もち」、高知でとれるタチウオを、すし飯の上に逆さにのせた「かいさま(さかさまの意)めし」などがあります。
その中に「ぐる煮」という郷土料理があり、たくさんの野菜を一緒に煮た料理です。土佐弁で「ぐる」は、「一緒」とか「仲間」をいい、食材に使った多くの野菜が「ぐる」になっている状態から、名前がつけられたということです。「あいつらはグルになっている」などといいますね。
§四万十川でとれるアユの料理「鮎の背ごし」────────────────────────────────────
♪高知県には、日本一の清流といわれる「四万十川」が流れております。昔、この川の上流は、山深く焼畑の農耕地であるために、水田はわずかであり、米は少ししかとれません。したがって、「めし」には米は1~2割しか入っておらず、8~9割はキビ(トウモロコシ)やソバでした。上流でとれるキクイモ(サトイモ)も大事な食糧でした。
♪一方、四万十川からは、アユ、ハヤ、コイ、ゴリ、ウナギ、エビ(ヤマトテナガエビ)、カニなどがとれます。これらの「川の幸」は冷たい清流で育ちますので身がしまっており、郷土料理に使われます。今では高級な郷土料理となっております。四万十川の流域は、冬の寒さが厳しく農作物の得られないこの時期には、これらの「川の幸」は、塩漬けにしたり干したりして、重要な保存食の役割がありました。
☆四万十の「アユの背ごし」は、6月頃にとれる若アユのウロコとヒレ、内臓を取り、水洗いし、塩をふったあと、頭から細切り(骨の付いたまま輪切りにします)にします。氷水で身を引き締めることもありますし、地酒で洗うとおいしいともいわれております。このアユに、高知県の特産のミョウガ、タマネギなどを盛りつけて二杯酢、酢味噌などで食べます。新鮮でイキのよい若アユで最高の味が出ます。
「アユの背ごし」は、アユのとれる地方ではよく見かける料理ですが、付合わせの具や味付けに、その地方の特徴があります。
☆その他、四万十川の「川の幸」を使った郷土料理としては、「アユの甘露煮」、「アユめし」、「テナガエビとキュウリの煮つけ」、「ウナギのたたき」、「ツガニ汁」、「ゴリの玉子とじ」、「コイの子もぶり」と多彩です。
♪四万十川と流域の郷土料理を大事にし、われわれが心から味わうことは、食文化の保存にもなりますが、間接的には「清流」の維持にもなるのではないでしょうか。
§高知県の駅弁────────────────────────────────────
♪駅弁に関しての情報の質の良さ、量の多さ、正確さにおいて他を圧倒しているウェブサイト「駅弁資料館」は、館長を務める福岡健一氏(まっこうくじら)によって運営されておりますが、それによりますと、高知県の駅弁はJRの高知駅以外には、宿毛市、安芸市、四万十市によって設立された第3セクター、「土佐くろしお鉄道」の中村駅で「幕の内弁当」が売られているとのことです。
☆「かつおたたき弁当」は、高知の名物「かつおのたたき」と、白飯に高知の特産のミョウガ、ポン酢、ネギ、ニンニクが添えられています。この弁当の味も量も食堂で出されるものと同じくらい充分満足のいくものとの評判です。落語家のヨネスケさんも絶賛した駅弁です。そして、この弁当の価値は、恐らく唯一「生もの」を扱った駅弁であることでしょう。
☆その他に、「日曜市のオバア弁当」というのがあるそうです。日曜市に店を出している「オバア」たちの昼食をイメージしたものです。地元でとれたナス、キュウリ、タケノコなどの「にぎり寿司」にカボチャなどの煮物、デザートとして羊羹がついているそうです。また、「貝飯」は、長太郎貝(二枚貝のヒオウギカイをいう)の炊き込ご飯です。福岡健一さんによると、この二つの駅弁は、ツィッターから生まれた弁当ということです。
♪私は、これらの弁当の内容からは、土佐の酒を飲みながら食べるのが一番おいしいと思えてきました。
§高知県の漬物────────────────────────────────────
♪高知県は、ナス、ミョウガ、キュウリの生産量が全国でも有数で、これらの特産野菜を使った漬物はシンプルなのに味は細やかで奥深いものです。
☆「ナスとキュウリの漬物」は、名前のようにナスとキュウリを一緒に漬けたシンプルなものです。しかし、ナスは「ナスの漬物」、キュウリは「キュウリの漬物」で食べられているのが普通ですが、ナスとキュウリを一緒に漬けた漬物は、珍しいといえましょう。
☆四万十川流域でとれる「キクイモ」も漬物に使われ、「きくいも漬」といいます。「こくたま亭」は、高知産のキュウリ、ミョウガ、海苔が一緒に漬けられております。南国市でとれるダイコンを漬けた沢庵は、郷土の英雄・坂本竜馬も食べたということから、「竜馬漬」といいます。この沢庵を漬けるときには、「ナスの葉」と「ウコン」が使われております。日本のどの地方でもいえることですが、漬物は今でこそ商品として売られておりますが、本来は、純粋に地元でとれる作物や海産物を使い、かつ、食材がとれない季節のための保存食として重要な役割がありました。
♪漬物を漬けるときに「ナスの葉」や「ウコン」を入れることにふれましたが、ナスの葉は、漬物の味にまろやかさを加え、ウコンは、沢庵などの天然の「黄色」を出すのに使われました。そして、今では、両方の食材とも抗酸化作用をもつことより健康にも寄与しているといわれております。
§「ナス」について────────────────────────────────────
♪もう何度かふれましたが、「高知県のナスの生産量は日本一」です。ここでは、「ナス」の効能など「ナス」について書いてみましょう。
♪「ナス」は、奈良時代に日本に伝わり、古くは「ナスビ」といわれました。もちろん、食べ物として用いられましたが、「茄子紺」といわれる紺色は、上品で高貴な色として人々を魅了してきました。
♪「ナス」の原産地は、インドの東部とされ、ビルマやチベットを経て中国に渡ったと考えられております。違うルートでは、5世紀以前に古代ペルシャやアラビア半島にも伝わりました。13世紀~15世紀には地中海沿岸で作られるようになり、ヨーロッパに普及しました。アメリカには、ヨーロッパから伝わりました。つまり、「ナス」は、超グローバルな野菜といえましょう。
次回は、「高知県」の特産物でもあるナスの力をさらにお伝えしたいと思います。
食文化こぼれ話 Part 3 - 高知県(2) 関連するこぼれ話はこちら 2010/02/17(木)
「食文化こぼれ話 Part1 - 高知県」 ──────────────────────────
2012年5月19日作成
■参考にした情報・文献組合立篠山小学校・中学校のサイト「篠山小・中学校」
http://sasayama-e.esnet.ed.jp/html/農林水産省選定 郷土料理百選「高知」
http://www.rdpc.or.jp/kyoudoryouri100/ryouri/39.html(株)加寿翁コーポレーション「鯨のハリハリ鍋」
http://www.tosakatsuo.com/kujira.html司牡丹(株)「司牡丹社長が語る裏バナシblog」
http://blog.livedoor.jp/tsukasabotan/archives/50426484.html高知県林業振興・環境部「四万十川の姿 食 伝統料理」
http://www.pref.kochi.lg.jp/~shimanto/1_2guide_kurasi/shoku.htmlウェッブサイト 駅弁資料館「高知県 高知駅」
http://kfm.sakura.ne.jp/ekiben/39kochi_kochigyo.htm(株)ウェッジ「生の鰹が食べられる! 高知駅弁 かつおたたき弁当」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1562(有)土居食品「おいしいお漬物ご紹介 茄子&胡瓜」
http://www.doishokuhin.co.jp/item/?id=68&mode;=info&group;=grp01(有)土居食品「地球自然村 竜馬漬」
http://shokusan-kochi.jp/kigyou/doi.html東洋園芸食品㈱「香蔵の漬物 こくたま亭」
http://www.toyoengei.co.jp/農林水産省「ナス どこからきたの?」
http://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_tanken/nasu/01.html