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 昨年の新語・流行語大賞では、プロ野球・広島東洋カープの女性ファンを意味する「カープ女子」が、トップテンに入賞しました。

 このカープ女子の流行を契機に、プロ野球「以外」のスポーツでも女性ファンの愛称を命名する動きが活発になりました。例えば大相撲のスー女(スーじょ)、プロレスのプ女子(プじょし)、競馬の馬女(うまじょ)あたりが代表例でしょうか。多くのプロスポーツにおいて、女性ファンの取り込みが大きなテーマになっていることを想像させます。

 さてそんななか、筆者は個人的にこんな疑問を抱いています。「カープ以外のプロ野球球団では、女性ファンのどんな愛称が定着しているのか」という疑問です。カープ女子の発信源であるプロ野球界で、カープ女子以外の定着例があるのかどうかが、気になったわけです。

 そこで今回の「社会を映し出すコトバたち」は「プロ野球の各球団において、女性ファンの愛称は定まっているのか」という話題を追いかけたいと思います。新しい愛称を定着させることは、実は非常に困難な作業である――ということを示します。

 今回はその前編。セリーグについて取り上げます。

広島~カープ女子の復習~

 なにはともあれ、カープ女子について復習しましょう。

 そもそも広島東洋カープが、女性ファンの取り込みを意識するようになったのは2009年のこと。これは球団の新しい本拠地であるマツダスタジアム(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島、正式名称は広島市民球場)が同年に完成したのを契機に、新規ファンの開拓を目的として始めた施策でした。この施策は徐々に実を結ぶことになります。

 まもなくネットでは、広島戦で増えつつある女性ファンをテーマにしたブログ「CARP-girl-CARP」(2010年開設)も登場して、話題を集めるようになります。ただそのブログにおける女性ファンの愛称は、ブログ名にもある通り「カープガール」だったのです。

 いっぽう「カープ女子」が普及する契機になったのは、NHKの「クローズアップ現代」だと言われています。同番組の2013年9月30日放送分において「“野球女子”私が球場に行く理由」という内容を放映。この中で、野球を楽しむ女性の一例として登場したのが、カープ女子を自称する女性たちでした。

 以後、新聞・テレビなどのマスコミ報道でも、カープ女子という言葉が登場する機会が増えて現在に至ります。また冒頭でも述べた通り、2014年の新語・流行語大賞ではカープ女子がトップテンに入賞しました。

 ここで注目しておきたいのは、女子ファンの愛称における親玉とも言えるカープ女子ですら、定着に至るまでに「愛称の変遷」が存在したこと。つまりカープガールがカープ女子へと変わりました。そしてこれから紹介する事例のいずれも、愛称普及への道のりは「平坦」ではなかったのです。

阪神 ~公式愛称はTORACO(トラコ)だが~

 では次に阪神タイガースについて取り上げましょう。

 2014年のシーズン開幕時、阪神は「TORACO(トラコ)」というウェブサイトを立ち上げて、女性ファン獲得のための施策を始めました。TORACOは阪神のチーム名である「虎」と、女性をイメージさせる「子」または「娘」を合成した言葉。球団ではTORACOを「元気にかわいく、オシャレも応援も楽しむ女の子」と定義しています。

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