サッカー

三ツ沢球技場、基準満たさずJリーグから制裁対象に どうする横浜市

 J1横浜Mなどの3クラブが本拠地とするニッパツ三ツ沢球技場(横浜市神奈川区)がJリーグから制裁対象に挙げられていることが分かった。トイレの設置数や屋根の観客席のカバー率がJリーグの基準を満たしていないためで、アジア・サッカー連盟(AFC)の主催試合が開催されない可能性があると通知されている。制裁対象のスタジアムは他にもあるが、Jリーグは改善の見通しが立たない同球技場を問題視。管理・運営する横浜市は「市全体で検討していく課題」と捉えている。

 Jリーグは国際サッカー連盟(FIFA)に準じた基準を設け、各クラブが本拠地とするスタジアムを審査している。2012年に導入されたクラブライセンス制度の一環で、千人に対し、洋式トイレ5台、男性用小便器8台の設置や、スタジアムの屋根が観客席の3分の1以上を覆っている-などの基準を定めている。

 クラブライセンスを交付した9月29日、Jリーグは同球技場を含めた11スタジアムを制裁措置として公表。同球技場はトイレの数が基準の3割ほどしかなく、屋根に至っては設置されていない。

 また、Jリーグはアジア・チャンピオンズリーグなどAFCの主催試合が開催できない可能性も通知。12月にも、本拠地とする横浜MとJ2横浜FCに施設の改善計画を提出するように求めた。

 ただ、Jリーグ側が問題にしているのは、他のスタジアムとは違って改善の見通しが立たないことという。J2湘南の本拠地、ShonanBMWスタジアム平塚(平塚市)も屋根の基準を満たしていないが、クラブと平塚市で改修の検討を始めている。一方、9月に事情説明した横浜市から改善案は示されず、Jリーグの大河正明常務理事は「改修ができないなら新スタジアムの構想を含めて考えてもらわないといけない」と指摘する。

 一方、市にも言い分がある。1955年に建設され、64年の東京五輪ではサッカー会場として使用された同球技場。これまでもスタンドの個席化や電光掲示板の設置など改修してきたが、屋根は多額な費用が必要になるほか、公園利用への影響も大きいという。公園を管理する横浜市環境創造局は「(Jリーグ側の)要望も高まっていることは理解できるが、一部署では決められない」としている。

 大阪府や長野市では新スタジアムが建設され、広島市などではサッカー専用スタジアムの構想も立ち上がっている。「このままでは時代に取り残される。検討を進めてほしい」とJリーグ。横浜M、横浜FC、J3YSCCと全国最多の3クラブがある横浜市の動向が注目される。

【神奈川新聞】