太陽系内に数多くある惑星の中でも、直径数千キロの大きさをもった 固体惑星は、特に地球型惑星と呼ばれ、地球とその構造や成因が近い と考えられています。したがって、太陽系の研究の中でも地球型惑星 の研究は、地球の構造や成因を理解する上で最も重要な位置を占めて います。地球型惑星には、水星、金星、火星、月(月は衛星ですがそ の構造と大きさから地球型惑星の一つとして考えられることが多いの です)が含まれますが、それぞれに大きく異なった特徴をもっていま す。これら多様性に富む特徴が何に起因しているのかを理解すること により、惑星の一般的な理解、ひいては地球の理解ができます。ここ では、火星、金星、月の特徴を紹介します。
この図は、マーズ・グローバルサーベイヤーが遠距離から捉えた火星の姿です。 上に北極冠が、中央左側に雪を戴いたタルシス山系が見えます。 全体がぼんやりして見えるのは、火星の大気による散乱が原因 です。
火星のページへこの図は、紫外光で見た金星の姿です。 金星は可視光では白く輝くばかりで何も特徴を見ることはでき ません。しかし、紫外光では硫酸の雲が作る模様を捉えること ができます。この硫酸の雲は非常に厚く、ほとんどの波長の電 磁波を吸収するか跳ね返してしまいます。そのため、長らく金 星固体表面の観測は困難でした。しかし、レーダー電波は厚い 雲層を貫通して表面の様子を捉えることができます。90年代 の始めにマゼラン探査機が精密なレーダー観測を行い、金星の 豊かな表情を明らかにしてくれました。
金星のページへこの図は、ガリレオ探査機が撮影した地球に並ぶ月の写真(NASA提供)です。 月と地球は様々なレベルで非常に密接に結びついていま す。月の起源の理解なしにして地球の起源を理解したと は言えません。月の理解は地球の理解に直結しています。 また、月には、地球には残っていない惑星系形成直後の 非常に古い地殻が大量に残っています。この太古の地殻 に残る地質記録を読みとることにより、地球の初期進化 を理解する上で重要な情報が得られると期待されています。
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