【バチカン6月23日CNS】シチリアのマフィアより裕福で強大とされる犯罪組織がはびこるイタリア南部の地域で、教皇フランシスコは、「悪の道をたどる人々は、マフィアの団員がそうであるように、神との交わりのうちにはありません。その人たちは破門されています!」と訴えた。
教皇は6月21日、南部カラブリア州を訪問してささげたミサで、暴力団員の家庭がミサに行き、家の中や隠れ家を聖画などで飾っても、彼らは教会と神との交わりを自ら断っている、と言明した。
「人は主をあがめるのではなく、代わりに金銭を崇拝するとき、罪と個人的な利益、搾取への道を開くのです」と教皇フランシスコは語り、シバリという町の近くの競技場に集まった約2万5千人の会衆から拍手を浴びた。「人は主である神をあがめないのなら、悪の崇拝者になってしまいます。それでは、犯罪と暴力の人生を送る人たちと同じようです」
「皆さんのこの美しい郷土は、こうした罪のしるしと結果を思い知っています。これはンドランゲタの仕業です。悪の崇拝と共通善の侮辱です」と教皇は語気を強めた。教皇が名指ししたンドランゲタはカラブリア州を本拠地にする犯罪組織。
「社会復帰は私たち次第」
教皇は9時間かけて行ったカッサーノ・アッリオニオ教区への司牧訪問をカストロビッラーニのロゼッタ・シスカ刑務所で受刑者たちに会うことから始めた。教皇は同刑務所で、ことし1月に祖父と共に殺害された3歳の男児、ニコラ・カンポロンゴちゃんの父親と祖母に面会した。男児の両親は数人の親類と共に、麻薬密売の罪で服役している。イタリア警察によると、男児は密売をめぐる抗争での銃撃戦に巻き込まれて死亡した模様だという。
教皇フランシスコは受刑者全員と刑務官を前にした講話で、刑務所は社会復帰を目指す教育課程を提供するよう呼び掛けた。「この目的が見過ごされてしまうと、刑罰は単なる処罰と社会的報復の手段になってしまい、個人と社会の双方を傷つけるだけに終わってしまうのです」
教皇はまた受刑者たちに向けて、服役中の時間を使って、自分の犯罪が家族や社会、自分と神との関係に与えた影響について考えるよう促した。
「主は社会復帰について熟達しておられます」と教皇は語った。「主は私たちの手を取り、私たちを社会共同体の中へ連れ戻してくださいます。主はいつもゆるし、いつも寄り添ってくださり、いつも理解を示してくださいます。主に理解していただき、ゆるし、寄り添っていただけるかどうかは、私たち次第なのです」