海草場:実はCO2吸収の場 港湾空港技術研究所など発表

毎日新聞 2014年03月24日 05時45分

 アマモなど海草が繁殖する河口や内湾が二酸化炭素(CO2)を吸収する場所になっていると、独立行政法人・港湾空港技術研究所(神奈川県)などのチームが、米科学誌グローバル・チェンジ・バイオロジー電子版に発表した。「海洋生物のゆりかご」として重視されてきた海草場は地球温暖化対策の面からも保全が求められそうだ。

 これまで河口や内湾は、生活排水や枯れ葉などが流れ込んで有機物が分解されるために、CO2の排出源になっていると考えられていた。

 チームは、海草の光合成能力に着目し、アマモが繁殖する風蓮湖(北海道)や吹通(ふきどう)川(沖縄県)などで、CO2の吸収量と放出量を観測した。

 その結果、風蓮湖全体(約58平方キロ)で、日本の約280世帯の年間排出量を相殺する約1400トンのCO2を吸収していることが分かった。吹通川での暫定観測でも、有機物の分解でCO2を放出しているとされた夏季も吸収源になっている可能性があるという。

 海がCO2を吸収し炭素を蓄える能力は「ブルーカーボン」と呼ばれ、外洋や大陸棚で海水や植物プランクトンが主に役割を担っている。同研究所の桑江朝比呂(ともひろ)・沿岸環境研究チームリーダーは「外洋で植物プランクトンを増やすより、沿岸でアマモ場などを造成する方がコスト面からも取り組みやすい」と話す。【大場あい】

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