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松田龍平「思いつながった」史上初!父子で主演男優賞…報知映画賞

「こんな賞をもらって次が大変です」と話した松田龍平

 ◆第38回報知映画賞 ▽主演男優賞・松田龍平「舟を編む」 今年の映画賞レースのトップを飾る「第38回報知映画賞」の各賞が27日、決まった。主演男優賞は「舟を編む」(監督・石井裕也)で内気な辞書の編さん者を演じた松田龍平(30)。父・松田優作さんは83年の第8回、「家族ゲーム」(監督・森田芳光)で主演男優賞に輝いており、同賞史上初の父子受賞。龍平は「目に見えない力が働いているような。人や作品と出会って思いがつながったというか」と、不思議な運命の巡り合わせに感じ入っていた。12月18日に都内で表彰式が行われる。

 亡くなって今年で25年目になる優作さんが2度受賞(89年に特別賞)した縁の深い映画賞であることを龍平はこの取材で初めて知った。第1回からの受賞者が記された一覧表。名前を見つけると小さな声で2度「へぇー、そうだったんだ」独り言のような驚きの声を上げ、とつとつと話し始めた。

 「最近、自分が何をやったかより、人とのつながりを考えます。自分ではどうしようもない力、目に見えない力が働いているような。この賞もそれに近い。人や作品と出会って思いがつながったっていうか」

 この不思議な巡り合わせは偶然か、それとも必然なのか。映画「舟を編む」は、プロデューサーが「家族ゲーム」の森田芳光監督、優作さんのような映画史を変える才能のぶつかり合いを求めて始まった。父が主演男優賞を受賞したのは1983年。龍平は生まれてまだ半年。作品賞が「家族ゲーム」だった。

 30年の年月を経て史上初の父子2代の主演男優賞。「オヤジとは5歳から会ってなくて記憶もほとんどない。でも命をかけて俳優をしていたことを全面で受け止めてきました」といい、「同じ仕事をしているからこそ父親を感じられる瞬間や幸せもあるんじゃないかって思えるようにもなった。今は『似てる』と言われて素直にうれしいですけど(俳優を)始めた当時はオヤジだったらやらないだろうなと真逆のことを考えた時期もあって」

 「舟を編む」で演じた主人公は言葉の知識は豊かなのに、話し下手な人物。内面の細やかな演技が求められる難役だ。「初めてあらゆるプレッシャーを真っ向から受け止めてやってみようと…」。実はある覚悟を持って臨んでいた。

 「作る人の思いを背負って自分がどこまでできるか。後悔、恥ずかしい思いだけはしたくない。考えつくこと全てを正直に。それでダメなら自分が俳優に向いてないのだから」。俳優生命をかけていた。受賞は二世であることなど一切関係なく、純粋に役の完成度の高さが評価されてのもの。自力でもぎ取った賞だった。

 この世界に入って15年目。もしデビュー作「御法度」の大島渚監督との出会いがなければ違う人生だったのだろうか。「全然、見当つかないです。でも生前『息子にもこの仕事をやらせたい』と言ってくれてたみたいで。僕には息子がいない(女児の父)けど、親子の関係性をいろいろ投影したり想像するようにもなって。不思議ですね」

 今年は「あまちゃん」で“ミズタク”こと水口琢磨役でも人気を呼んだ。テレビに映画に俳優としてまさに新境地を開いた年だった。「どうしよう、次が大変ですよ。こんなすてきな賞までいただいて。でもやっぱりいまに満足せず、挑戦し続けることしかない。演じることと生きることは、ほとんど同じじゃないかって強く思いますから」

 【親子2代での受賞】富司純子(99年助演女優)と寺島しのぶ(03年主演女優)、三浦友和(85年助演男優、99年主演男優)と三浦貴大(10年新人賞)で今回が3組目となる。

 【優作さんVTR】83年の受賞時「この作品(家族ゲーム)のために何年か手探りで進んできた。自分の引き出しにはない芝居で白紙の状態でぶつかった」と語っていた。89年は「ブラック・レイン」で助演男優賞に押す声が強かったが、当時は個人賞は邦画作品が条件だったため特別賞に。授賞式には松田美由紀(52)が出席。ブロンズ像を抱きかかえながら「とても重いけど、優作が生きていたらもう少し軽く持ってたと思います」とあいさつした。

 ◆松田 龍平(まつだ・りゅうへい)1983年5月9日、東京都生まれ。30歳。父・松田優作さん(89年死去)、母・松田美由紀、弟・松田翔太の俳優一家。大島渚監督に見いだされ99年、映画「御法度」でデビュー。ブルーリボン賞新人賞などを受賞。映画を中心に活躍。09年1月、モデルの太田莉菜と結婚。同年7月、第1子の女児が誕生。13年、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で“ミズタク”こと主人公のマネジャー・水口役で人気を博す。12月21日に出演作「麦子さんと」が公開。

 ◆舟を編む 玄武書房の営業部で“変人扱い”されていた馬締(まじめ、松田)は、ベテラン編集者・荒木(小林薫)に見いだされ、辞書編集部へ異動。新辞書「大渡海」の編さんに取り組み始める。ある日、下宿先の大家の孫・香具矢(宮崎あおい)と運命的な出会いをする馬締。仕事仲間の西岡(オダギリジョー)やその恋人・麗美(池脇)も2人の恋を応援する。そんな中、「大渡海」の製作が中止になるといううわさが舞い込んだ…。昨年の本屋大賞第1位となった、三浦しをんさんの同名小説が原作。

特集   報知映画賞

(2013年11月28日05時05分  スポーツ報知)

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