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【TVクリップ】吉田鋼太郎 「いい役者になれると思って」酒と女と…むちゃでぼろぼろ

ニュースカテゴリ:エンタメ

【TVクリップ】吉田鋼太郎 「いい役者になれると思って」酒と女と…むちゃでぼろぼろ

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 NHKドラマ「七つの会議」に出演する、俳優の吉田鋼太郎さん =横浜市青葉区(荻窪佳撮影) 「七つの会議」

 NHK総合、7月13日午後9時スタート

 シェークスピア劇や海外古典劇など舞台を中心に活躍しており、蜷川幸雄演出作の常連。最近は映画やテレビドラマへの出演も増え、迫力ある独特の存在感を放っている。

 「テレビには舞台のような長時間の稽古がない。リハーサル、カメラテストをやってすぐ本番という緊張感が心地いい」

 直木賞作家、池井戸潤さん原作のドラマで、中堅電機メーカーの万年営業係長、八角を演じる。仕事に不熱心な不良社員で、上司になる主人公、原島(東山紀之)らを悩ませる。ただ、会社がひた隠すある不正の鍵を握る重要人物でもあり、顧客をめぐる暗い過去も抱えている。

 「僕は会社勤めの経験がないので、なぜ組織ぐるみで不正に加担するのかピンとこない。でも、人間だからこそ、一度嘘をついたら突き通さなければいけないのかな」

 声を張ったスケールの大きい演技で知られるが、今回は声のトーンを抑えているという。「映像では目線など細かい動きが大事。まだ新鮮です」と楽しんでいるようだ。

 高校時代、俳優の芥川比呂志や批評家の福田恆存(つねあり)が立ち上げた劇団雲のシェークスピア喜劇「十二夜」を見て、役者を志した。「舞台は演じ方によって、観客の目線を自分に集められる。ずっとアップで撮ってもらっている感じ」と魅力を語る。

 若いころは米俳優アル・パチーノやロバート・デ・ニーロにあこがれたといい、「自分は古いタイプの役者なのかな。いい役者になれると思って、私生活での苦労を買って出てきたところがある」と振り返る。酒や女性にのめり込み、離婚も経験した。「要するに、だめなんです」と自嘲気味にはにかむが、そんなしぐさにそこはかとない色気がにじむ。

 「むちゃをすると、いろんな人を傷つけ、自分もぼろぼろになる。でも、そんな経験があるからこそ、台本の行間を読み、過去を生かした声や表情を表現したい。芝居をやっている人間というのは、目立つことが好きなんですよ」

 人の業を見つめたからこそ、心の機微をうがつことができる。さばけた調子で語る言葉からは、そんな境地が垣間見えた。

(三品貴志)

              ◇

 <よしだ・こうたろう>昭和34年、東京都出身。上智大シェイクスピア研究会公演「十二夜」で初舞台。平成9年に演出家の栗田芳宏と劇団AUNを旗揚げ。蜷川幸雄演出の「リア王」「ハムレット」など数多くの舞台で活躍し、テレビでは「カラマーゾフの兄弟」などに出演。9月以降、埼玉、大阪などで公演される舞台「ムサシ」に出演する。

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