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常磐線、内陸迂回検討 宮城県・山元町亘理駅以南

 東日本大震災で大きな津波被害を受け、線路などが流失したJR常磐線の亘理駅以南の復旧について、宮城県と山元町などが内陸側に大きく迂回(うかい)する2ルートを含めて検討していることが2日、関係者の話で分かった。ほぼ被災前通りとする案も加えた3ルートの安全性、利便性、費用などを比較し、復旧路線を絞り込むことになりそうだ。

 関係者によると、迂回案は(1)被災前より内陸に入った国道6号東側(2)6号西側―の二つ。いずれも6号とほぼ並走する形で、山下、坂元両駅とも移設する。被災前のルートでも、盛り土構造にしてかさ上げする案を検討している。
 常磐線が沿岸部を通る山元町内では、坂元駅の駅舎やレールが流失するなど、津波による設備被害が甚大で、復旧の見通しは立っていない。JR東日本の清野智社長は、津波被害が激しい沿岸の在来線について「責任を持って復旧させる」と表明。ルートに関しては「国や自治体と相談し、位置変更も含めて検討する」(里見雅行仙台支社長)としている。
 宮城県は復興まちづくりで、道路や鉄道に堤防機能を持たせ、その内陸側に住宅地を配置する基本方針を推し進めたい考え。ただ、町の復興計画に大きな影響を与える常磐線のルートには、沿線住民の意見も分かれているようだ。
 山下駅の近くに住む会社員男性(52)は「場所を変えると土地の取得などに時間がかかる。仙台への通勤通学で使う人も多く、一日も早く開通できるよう同じ場所に通してほしい」と訴える。
 一方、町内の自営業者(48)は「同じ路線にするのは危険。国道6号の西側で条件のいいルートを選べばいい。今までのように海沿いには住めないだろう」と路線の変更を望む。
 山元町は「重視するのは安全性と利便性。今はまだ方向性を決めていない。住宅移転の可能性も踏まえ、県、JRと協議する」(企画財政課)としている。


2011年05月03日火曜日

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