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2012年4月11日10時37分

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愛するがゆえヤマト再び TV版リメーク「旧作磨いた」

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写真:「宇宙戦艦ヤマト2199」総監督の出渕裕拡大「宇宙戦艦ヤマト2199」総監督の出渕裕

 1970年代に大ブームを巻き起こしたアニメ「宇宙戦艦ヤマト」。最初の74年のテレビシリーズが、「宇宙戦艦ヤマト2199」としてリメークされる。当時ファンだった作り手たちがオリジナルの物語を大切にしつつ、最新の映像表現でよみがえらせた。

 「2199」総監督の出渕裕(53)は、高校生の時「ヤマト」に衝撃を受け、人生が変わった。「アニメスタジオに見学に行くようになり、そのままプロの道に入った。ヤマトに導かれて業界に入った人が40代、50代にたくさんいる。『ヤマトで転んだオレたちでヤマトにケジメをつけよう』という殺し文句で、スタッフを集めた」

 大切にするのは「オリジナルへの愛と敬意」だ。

 「別物にしてしまうリメークでは意味がない。旧作の良さや面白さをそのまま生かし、今の映像表現で磨き上げる。メカのディテールを描き込むことで重さと存在感をプラスし、画面に奥行きと厚みを持たせることで、オリジナルの武骨なアナログ感を味にしたい。主砲発射やワープや波動砲の手順も、人の手作業の積み重ねとしてじっくり見せる。デジタルでピピッ、では『ヤマト』らしくない」

 キャラクターは、旧作を踏まえつつシャープなデザインに。音楽は故・宮川泰の名曲を録音し直し、息子の彬良が補作した。独特の効果音も旧作のままだ。

 脚本を統括する「シリーズ構成」も担当する。冥王星になぜ海があるのか? 同じガミラス人なのに肌の色が違うのはなぜか? といった、旧作で散見されたあり得ない設定や矛盾に、新解釈で理屈をつけた。「とんちやへりくつですけどね」

 長年のファンが脳内で美化してきた理想の「ヤマト」、妄想の「ヤマト」をビジュアル化したのが、今回のリメーク版だという。「見れば驚きます。驚けない僕が、一番不幸なファンですよ」

■劇場スタート、オンデマンドも

 新作は、テレビシリーズのフォーマットで全26話分が制作される予定だが、お目見えは映画館だ。まずは1、2話をまとめて、全国10都市で7日から2週間上映。その後は、4話分ずつまとめて順次上映し、完結は年明けを見込む。

 公開と同日に、家庭のテレビでも視聴できるビデオオンデマンドの有料配信がスタート。また、上映館で劇場限定のブルーレイを販売。一般発売のDVD、ブルーレイより1カ月以上先駆けて購入できる。テレビ放送は来年以降の予定だ。

 深夜放送が中心の近年のアニメビジネスの主流は、テレビを宣伝媒体としてとらえて放送枠を購入し、映像ソフトなどを売って資金を回収する。

 しかし、シリーズ作品をテレビではなく、入場料をもらって映画館で何回かに分けて上映する手法は、「機動戦士ガンダムUC」などで最近目立つ。ヤマト2199製作委員会の関係者は「テレビは幅広い層への拡散装置だが、ガンダムやヤマトといった知名度があれば、一定のファンが最初から見込める」と話す。

 映画館での上映は、「参加型イベント」と位置づける。熱心なファンの盛り上がりで興味を抱いた人たち向けに、DVDなどよりも安価な配信やテレビ放送が用意され、ファン層の拡大が狙える仕組みにした。(小原篤、宮本茂頼)

〈宇宙戦艦ヤマト〉

 2199年、宇宙からガミラスの侵略を受け、滅亡が迫る人類。救いの手をさしのべたイスカンダル星へ、沖田艦長や古代進らを乗せた宇宙戦艦ヤマトが旅立つ。再放送で人気になり、77年に映画がヒット。アニメブームを起こした。その後も2回のテレビシリーズや映画など続編が作られ、近年では2009年に映画「復活編」が公開された。

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