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名取の塩害農地で水耕栽培 仙台の被災農家

瀬戸誠一社長

水耕栽培による植物工場が建設される被災農地=11日、名取市植松豊田

 東日本大震災で被災した仙台市内の農家が東京の企業と連携して農業法人を設立し、津波をかぶった宮城県名取市の塩害農地に通年型水耕栽培による植物工場を建設することになり11日、現地で地鎮祭があった。3月に完成し、6月上旬にも出荷を始める。

 植物工場「なとりフードファクトリー(仮称)」を建設・運営するのは、仙台市宮城野区岡田の農業瀬戸誠一さん(62)ら3農家と環境コンサルティング会社リサイクルワン(東京)などでつくる農業法人さんいちファーム(名取市)。瀬戸さんが社長になった。
 名取市植松豊田の津波をかぶった水田約1万2000平方メートルを借りて、水耕栽培のハウス3棟を建設する。栽培面積は合計6000平方メートル。
 水耕栽培の架台には被災地のがれきから出たプラスチックや家庭から排出された容器包装などのリサイクル材を活用。野菜の根の部分だけを温度管理する方式を採用して燃料費を削減、初期投資や運営コストを抑える。
 栽培されるのはレタスやサンチュ、イタリアンパセリ、ベビーリーフ、ルッコラなど。震災復興支援を進める大手外食チェーンや都内のレストランから注文を受けて産地直送する。
 総事業費は3億5200万円。うち7割を国や県からの震災対策交付金で賄う。初年度は年商8000万円、翌年度からは1億2000万円を目指す。
 津波で自宅や農機具を流され水田や畑約1万5000平方メートルが浸水した瀬戸社長は「農地の除塩を待って1〜2年休んでいたら農業をやる気がなくなる。付加価値の高い水耕栽培を足掛かりにとにかく一歩前へ進みたい」と話している。


2012年01月12日木曜日

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