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7/28日付

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岩手県下 災派終わる 9師団が撤収 「心から敬意」と知事

 災害派遣活動を終え、幼稚園児から手作りの感謝状と花束を贈られ、笑顔の西帯野輝男5普連長(左)ら(7月20日、陸前高田市役所前で)

 東日本大震災で発災直後から岩手県内に展開して人命救助や不明者捜索、瓦礫の除去をはじめ、被災者の生活支援などに当たってきた陸自9師団(青森)が7月26日、同県での災害派遣活動を終了した。
 公共施設の瓦礫処理が済み、仮設住宅の入居が進んでいることなどから、緊急の災害派遣活動は終わったとして岩手県知事が撤収を要請したもので、被災3県で撤収要請が出されたのは初めて。
 これに伴い26日、盛岡市の岩手県庁広場では自衛隊への感謝式が行われ、達増拓也知事や職員約300人と林一也9師団長以下約30人が参加。職員らが「がんばろう!岩手。ご支援に感謝申し上げます」と書かれた横断幕を掲げる中、達増知事が「住民の命、安全を守るという崇高な使命を果たしてこられた。今回の災害は自衛隊の支援活動なくしては対応不可能だった。心から敬意を表します」と感謝の言葉を述べた。
 林師団長は「被災地に多くの笑顔が戻り、美しくよみがえることを祈念します」と述べた。
 9師団は岩手県内で7月10日に9特連が宮古市と山田町、15日に21普連が釜石市、19日に5普連が陸前高田市、20日に39普連が大船渡市、24日に5高特群が大槌町でそれぞれ活動を終了し、自治体等が主催する自衛隊への感謝の式典が行われた。
 自衛隊の災害派遣部隊は7月26日現在、陸自約1万8700人、海自約1800人、空自約2600人、原発対処約150人の計約2万3250人、航空機は約50機、海自艦艇6隻となっている。
 陸自は現在、6師団を中心に宮城、福島の各地で入浴や給食など生活支援を引き続き行っているほか、海自は航空機と艦艇で3県沿岸地域の行方不明者を捜索するとともに、宮城県石巻市で入浴支援を続けている。空自も松島基地で入浴支援を行っている。
 一方、原子力災害派遣では化学防護隊などが福島第1原発周辺の一時帰宅者らの除染支援を続けている。