2011年8月1日(月)

「埼玉から夢」発信 知事選で上田氏3選

支持者から花束を受け取る上田清司氏=31日午後8時31分、朝霞市三原の事務所

 31日に投開票された知事選は上田清司氏(63)が、原冨悟氏(63)と武田信弘氏(57)の両新人を下し、3選を果たした。同日夜、上田氏の選挙事務所は歓喜に沸き、原冨、武田両氏の選挙事務所は重苦しい雰囲気に包まれた。3氏はさまざまな戦術で有権者に支持を訴えてきたが、県民は「継続」を選択。投票率は全国の知事選でも過去最低の24・89%で、有権者の関心が県政から遠ざかっている現実を映し出した。

 午後8時に「当確」の知らせが入ると、朝霞市三原の上田清司氏の選挙事務所は、集まった大勢の支持者から大きな歓声が湧き上がった。すぐに祝勝会が開かれたが、東日本大震災の被災者への配慮から万歳三唱は自粛。上田氏は支持者と共に、「東日本大震災復興頑張るぞ。日本再生頑張るぞ。埼玉発展頑張るぞ」と、こぶしを突き上げた。

 万雷の拍手に迎えられて壇上に上がった上田氏は、「実績をしっかり訴え、全力を尽くした。経済復興など、埼玉県から夢のある企画を発信していく。停滞している日本に風穴を開ける」と支援に感謝するとともに、県政の総仕上げと位置付ける3期目への決意を示した。

 国会議員、県議、首長、業界団体関係者らが続々と事務所に駆け付け、3選を祝った。選対本部長を務めた新座市の須田健治市長は「埼玉を変えるという強い信念を持って手を抜かずに戦ってきた。埼玉を変えていきましょう」と声を大にした。民主、自民、公明が党派を超えて応援。県議は94人中91人が支持するなど、圧倒的なサポートを受けた。

 選挙期間中は県職員の天下り廃止など2期8年の実績をアピール。埼玉県の経済指標や犯罪件数の減少などが一目で分かる計13枚のパネルを使用し、これまでの目標や公約が着実に達成していることを示した。

 エコタウン構想や女性の社会進出、健康長寿のまちづくりなどに取り組むことを強調。「知事は3期まで」と公言しているが、「1期目というつもりで初心で臨む」と自分に言い聞かせた。

■「力及ばず残念」 原冨氏

 午後8時すぎに落選が決まると、さいたま市浦和区仲町の事務所は静寂に包まれた。原冨悟候補は「争点は間違っていなかったと思うし、ぶれることもなかった。ただ、数字をきちんと受け止めることは必要。投票率が低かったのは候補者の側に責任がある。力及ばず残念」と語った。

 労働運動に20年以上携わり、2000年以降は「民主県政の会」総括幹事として、3回の知事選を仕切った。今回は押し出される形で表舞台へ。「原冨さんが出るなら全力で応援する」と、地域の労働組合や市民団体が告示日前の早い段階から知名度アップと支持拡大に奔走した。

 告示日後は、県南部を中心に街頭演説や直接対話して人柄も知ってもらう「車座集会」を展開。公約の2大テーマに「原発ゼロ」と「暮らし応援第一の県政」を掲げ、太陽光や小水力など自然エネルギー発電設備の開発・普及による原発撤退や、医療・福祉体制の充実を訴え続けた。

 しかし、現職の批判票や無党派層の票を掘り起こせず、推薦する共産党の党勢が後退傾向にあることも響いた。宍戸出・民主県政の会総括幹事は「現職と知名度のない新人との戦いで、どれだけ追い付け追い越せるかだった。有権者の中に入っていく点では、力及ばずだった」と述べた。

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