紙と並んで深刻なのがインキだ。国内大手のDICは、原料の有機顔料の生産拠点である鹿島工場(茨城県神栖市)の操業再開時期が未定。原料の樹脂づくりに必要な石化製品のジイソブチレンを国内で唯一生産していた丸善石油化学の千葉工場(千葉県市原市)は震災で火災を起こし、「復旧には最低でも1年は必要」(同社)という。
このためインキメーカーの間では「代替原料を確保したり、海外の生産拠点からインキを調達する動きが広がっている」(印刷インキ工業連合会の小松原正志専務理事)という。
ほかにも、紙の原料であるパルプや新聞用紙の主原料の古紙を漂白するのに必要な過酸化水素が供給不足に陥る懸念が出ている。
“川下”の印刷業界では資材の不足感に加え、計画停電の影響も出ているという。日本印刷産業連合会の草野司朗常務理事は「計画停電で効率的に稼働できず、生産性が低下している」と打ち明ける。
一方、紙やインキの供給不足は最終製品に打撃を与えている。日本雑誌協会によると、3月25日時点で発売延期となった雑誌は234誌、発売中止となった雑誌は16誌に上った。人気雑誌も例外ではなく、集英社は同月28日の予定だった「週刊少年ジャンプ」の発売を昨日4日に延期した。(森田晶宏)