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注目記事

「ディスカバー・ジャパン」の衝撃、再び。

新井 満(作家)、藤岡和賀夫(プロデューサー)

1970年は大きな転機の年だった

 新井 1970年10月から「ディスカバー・ジャパン」のキャンペーンを始められたとき、藤岡さんは何歳だったんですか。

 藤岡 41、2歳ですかね。

 新井 私は、電通入社がたまたま70年なんです。ですから、藤岡さんの活躍を会社の外からではなく中から眺めていました。もともと私は本社に入ったんですが、すぐに大阪支社へ行けといわれた。それで毎日何をしていたかというと、千里の万博へ通っていました。べつに仕事はなく、とにかく万博というものをよく見ておけといわれました。その後、神戸でユニバーシアードやポートピア’81、本社に帰ってリレハンメル五輪や長野冬季五輪を担当するわけですが、広告ではなくイベントの仕事をすることになった、わが電通人生の最初の契機が万博でした。それが70年9月に終わり、10月から「ディスカバー・ジャパン」ですから、70年は私にとって忘れられない年なんです。

 藤岡 僕の場合も、同じ年の3月に富士ゼロックスの「モーレツからビューティフルへ」キャンペーンを始めたから、記念すべきキャンペーンが二つあったという意味で大きな転機の年でしたね。いま思うと、べつに重たいとも思わないんだけど、当時にしてみれば重たい仕事が続いたわけです。

 新井 それからあの年は、なんといっても三島事件です。作家の三島由紀夫さんが11月25日、自衛隊市ケ谷駐屯地に乱入し、割腹自殺を遂げた。

 藤岡 僕は、三島さんの名前を出すと誤解されるかなと思って黙っていたんですが、川端康成さんに「ディスカバー・ジャパン」のサブタイトル、「美しい日本と私」という言葉をいただく前の段階では、三島さんに頼もうと思っていたんです。

 新井 それはどうしてですか。

 藤岡 そのときの勘ですよね。もう一つは、三島文学に傾倒していたということもあります。非常に生意気なことをいえば、三島作品を読んだから、僕は作家を志さなくなった。こんなすごい人がいるんだったら無理だと思った。

 新井 追い越すのはむずかしいと?

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