2010年11月17日15時0分
資源減少が指摘される日本海のズワイガニ漁の取り締まりをめぐり、韓国漁船と水産庁取締船のいたちごっこが続いている。日本の排他的経済水域(EEZ)に出没する韓国漁船は、取締船を察知するためにレーダーを改造。同庁は漁期に当たる11月から海、空の双方から監視するが、密漁は後を絶たない。国際的な資源不安でロシアなどからの輸入品も値上がりし、「松葉ガニ」などの呼び名で知られる冬の味覚の代表格は危機にある。
ズワイガニ漁は6日、富山県以西の日本海で解禁された。7日に初競りをした鳥取県岩美町の田後(たじり)漁協の関係者は漁期を前にした8月、漁場の清掃に加わった。「今年もまた大量の網やかごと、1千杯以上の死んだカニがあがった。本当にもったいない」
日韓の「戦い」の舞台は日本海山陰沖のEEZ。両国の船が操業できる島根県・竹島周辺の暫定水域に隣接し、日本のズワイガニの9割はこの海域で漁獲される好漁場だ。水産庁などによると、1990年代後半ごろから、暫定水域を越え、許可なく日本のEEZで操業する韓国漁船が増えたという。
日本の底引き網に対し、韓国はカニが死ぬ可能性が高い刺し網やかごといった固定式漁法だ。日本は資源保護の観点からEEZで固定式漁法を許可していない。違法となる刺し網などが見つかるのは、釜山、浦項(ポハン)など韓国の主要漁港から出た漁船が、暫定水域に向かう際に通る海域。水産庁は「韓国漁船が行き帰りに漁具を仕掛けていくのだろう。韓国近海の資源が減ったために日本側に移った可能性もある」とみている。
水産庁によると、韓国漁船はマストを高く改造してレーダーの察知範囲を拡大し、水産庁の取締船の接近をいち早く知って暫定水域に逃げ込むという。目印となる浮きをつけずに漁具を沈め、全地球測位システム(GPS)で位置を確認し、回収する手口も目立つ。