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【わたしの失敗】プロ野球解説者・掛布雅之さん(52)(2)

2007.12.5 03:59
このニュースのトピックスわたしの失敗
まだ「若虎」と呼ばれていたころ(昭和53年)まだ「若虎」と呼ばれていたころ(昭和53年)

 ■三ゴロを見事にトンネル

 ミスタータイガースの振り出しは、テスト生だった。「もう時効ですけど、高校をずる休みして阪神の入団テストを受けたんですよ」。無名だった新人が、プロ入り早々からレギュラー争い。3年目にはオールスター戦に出場した。順風満帆のデビューだったように思えるが、本人は「いやいや」と苦笑する。

 「飛んでくる球が全然取れなかったですもん。いやほんと」

 いまもはっきりと覚えているエラーがある。入団2年目の昭和50年6月、甲子園でのヤクルト戦。1点を先制されたが、エースの江夏豊は毎回奪三振の力投をみせていた。投手戦は、6回に二死満塁の局面を迎える。

 「試合の途中からサードを守ってたんですけど、打者の背中がやたらと大きく見えた。『来るなよ来るなよ』って願ってましたから。もうその時点で負けてますよね」。サードゴロを見事にトンネル。2点が入り、続く打者が3ランホームラン…。万事休す。

 「試合後にロッカールームに入れなくて、扉の前でしゃがみこんでた。そしたら江夏さんが『なにしてんだ、バカ』。気にするなってね」

 1年目はもっと悩んでいた。練習ではできることも、試合のスピードになるとついていけない。チームに迷惑をかけることがつらくて、守備コーチの安藤統男に直訴した。「二軍に落としてください」と。

 あのなぁ、と諭された。「エラーをすることがダメなんじゃない。気持ちが後ろ向きになるのがダメなんだ。いいから早めにグラウンドに来い」。個人ノックを毎日たっぷり食らった。

 のちに、「掛布は絶対にものになるから一軍で育てる。どんなミスをしても落とさない」と金田正泰監督が宣言していたことを知らされた。「どこの馬の骨かわからないテスト生を、ですよ。ほんとに感謝してます」

 15年間の現役生活で、守備の卓越した選手に贈られるゴールデングラブ賞を6回獲得した掛布は言う。

 「どんなスポーツにも失敗はつきもの。僕はミスしたときにフォローしてくれる先輩や同僚に恵まれた。厳しく、優しく、向かうべき方向に舵(かじ)を取ってもらいました」=敬称略(篠原知存)

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まだ「若虎」と呼ばれていたころ(昭和53年)

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