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<病気腎移植>宇和島徳洲会病院が再開…「臨床研究として」

12月31日14時32分配信 毎日新聞

 医療法人徳洲会は30日、愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で、がん治療などのために摘出した腎臓を別の患者に移植する病気腎(修復腎)移植を、臨床研究として再開した。病気腎移植の実施は約3年半ぶり。徳洲会は2014年までに今回を含め5例を行う計画で、5例終了時点で手術の詳細などを公表する。

 宇和島徳洲会病院で31日、執刀した万波誠医師(69)らが記者会見した。呉共済病院(広島県呉市)に入院しているドナー(臓器提供者)の50歳代の男性から30日に腎臓を摘出しがんの部分を切除、宇和島徳洲会病院で万波医師らが同日中、慢性腎不全の40歳代のレシピエント(移植を受ける患者)の男性へ移植した。摘出した腎臓は直径4センチ以下の小径腎臓がんだった。術後の経過はドナー、レシピエント共に順調という。

 ドナーの男性は、27日に徳洲会の移植事務室にドナーの仮登録をした。協力関係にある呉共済病院の倫理委員会が28日にインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)に問題がないかなどを審査、承認したため本登録された。一方、徳洲会が進めていたレシピエント登録に登録していた26人から、移植事務室が候補者5人を選定。29日に外部の5人でつくる修復腎検討委員会が今回の男性を選んだ。その後、宇和島徳洲会病院の倫理委員会での手続きを経て手術を実施した。

 万波医師は「手術後すぐに尿も出て、経過に問題はない。修復腎移植は捨てる腎臓を再利用でき、非常にいい方法だと思っている」と話した。病気腎移植を支援するNPО法人「移植への理解を求める会」の向田陽二理事長は「再開を本当に喜んでいる。一人でも多くの患者を助けるには修復腎移植しかない。捨てられる腎臓で苦しんでいる患者を助けてほしい」と歓迎している。

 万波医師らのグループは、91〜06年に42件の病気腎移植をしたが、07年に日本移植学会などが非難声明を発表して以後、中断していた。厚生労働省は07年7月、臓器移植法の運用指針を改正して臨床研究を除き病気腎移植を禁止し、臨床研究としては病気腎移植を制限しないことを09年1月に全国に通知している。【柳楽未来、川上展弘】

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最終更新:12月31日21時28分

毎日新聞

 

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