報道発表資料 [2004年7月掲載]

広告と消費者トラブルに関する調査結果について

平成16年7月5日
生活文化局

 東京都では、不適正な取引行為による消費者被害の未然・拡大防止を図るための事業の一環として「広告と消費者トラブルに関する調査」を実施しました。その結果がまとまりましたのでお知らせします。

1 調査の目的

 広告媒体及びそれに関する消費者被害の実態を調査し、消費者取引をめぐるトラブルの原因となる広告の内容について分析を行い、消費者被害の未然防止に役立てることを目的として実施した。

2 調査のポイント

(1)広告に関する消費者の意識と行動(インターネットアンケート調査)

1)よく利用する広告は、食料品・衣料品では新聞折込広告。レジャー・旅行・家電製品ではインターネット広告。インターネットショッピングは約7割の人が利用。

2)新聞広告・折込広告・雑誌広告は、「商品を売るための効能・効果を誇張するものが多い」と約4割が指摘。一方で信頼性については「商品によってはある程度信用する」人が4割。

3)新聞広告・折込広告・雑誌広告を見て購入しトラブル経験にあった人は18%。トラブルの内容は「広告と実際の商品・サービスが違う」が4割強。トラブルに対して6割以上の人が何も行動を起こさなかった。一方で「行動を起こした」人の6割以上が解決している。

(2)広告事例・相談事例の特徴

1)広告事例15例・相談事例14例から、広告における消費者トラブルの要因を分析し『広告における消費者トラブルの防止ポイント』(資料)をまとめた。

(3)広告による消費者トラブルを防止するために

1)事業者・事業者団体に正確な情報提供を求めていくことや広告媒体に向けて広告表示の公正競争規約の周知・徹底を図っていくことが必要。

2)消費者が広告による消費者トラブルに巻き込まれないためには、消費者自身が不適正な広告を見抜く目を養っていくことが必要。

3 今後の取組

 今後東京都では、1)不当表示を行う事業者への取締強化、2)広告表示の適正化についての事業者団体への周知、3)「トラブル防止ポイント」等を活用した都民への普及啓発に取り組む。

問い合わせ先
生活文化局消費生活部取引指導課
 電話 03−5388−3072

〔資料〕

広告による消費者トラブルの防止ポイント

〜広告を信用しすぎるのは危険です。次のような広告がトラブルを発生させています。特に太字の内容があったら、確認しましょう。〜

トラブル要因となるポイント
1 事業者の信頼性、商品の品質・性能、役務の内容・効果に関する優良誤認・説明不足
  a 著名な同業者や著名な商品と類似の名称を使っているが、事業者や商品の信頼性が疑わしい。【優良誤認】
b ○○賞を受賞、○○特許を取得などと表示しているが、賞や特許等の権威・価値が疑わしい、又は賞や特許等の存在・取得そのものが疑わしい。【優良誤認】
c 日本一、日本初、最高級、断トツ等最上位の形容詞を表示しているが、客観的根拠が疑わしい。【優良誤認】
d 体験談や統計データ・実験データの数値等を表示しているが、抽出方法が曖昧であり、客観的根拠が疑わしい。【優良誤認】
e 国・地方公共団体や著名な団体・個人等の関与を表示しているが、その真偽が疑わしい。【優良誤認】
f 著名な原産地や製造者名の詐称、又は類似名称を使用している。【優良誤認】
g 法的許認可等が必要な取引であるにもかかわらず、事業者又は商品が認可を取得しているか疑わしい。【優良誤認】
h 不当表示とまではいえないが、商品に関する説明が足りないために消費者が誤認する恐れがある。【商品説明不足】
2 商品価格や役務の対価に関する有利誤認
  a 複数の価格(条件等)が表示されていて支払うべき金額等が不明瞭である。【有利誤認】
b 無料又は極めて低廉であるかのように強調表示しているが、実は有料である旨をわかりにくく表示している、又は総額が高額になっている。【有利誤認】
c 特別割安価格での限定販売(期間・数量・対象)を強調しているが、実際に通常と比べて特に割安か疑わしい。【有利誤認】
3 契約の成立時期に関する有利誤認
    無料お試しと表示しているが、実は試用開始から契約が成立することを明示していない、又はわかりにくく表示している。【有利誤認】
4 解約とそれに伴う返品・返金に関する有利誤認
    使用後満足できなければ全額返金などと表示しているが、解約条件が明示されていない、又は極めてわかりにくく表示している。【有利誤認】
5 その他の取引条件に関する有利誤認・説明不足
  a 履行条件、代金以外の経済的負担等のデメリット情報を明示していない。又は極めてわかりにくく表示している。法定表示事項が欠落している。【有利誤認】
  b 不当表示とまではいえないが、取引条件に関する説明が足りないために消費者が誤認する恐れがある。【取引条件説明不足】
6 規制を回避するための脱法的な表示
    法律や規制等から逃れるため、情報提供など間接的な形式を用いて、販売目的の商品又は役務の内容を直接的に表示していない。【広告規制に対する脱法行為】
7 違法な商品・違法な取引への誘引
    社会的に承認又は公認されていない商品又は役務の取引である疑いがあり、取引そのものが違法行為につながる恐れがある。【違法性の高い商品・取引】
8 広告表示以外に関する要因
    広告表示そのものに不当性があるとはいえないが、その後の勧誘においてトラブルが発生しやすい。【広告表示以外の要因】

注)
 「優良誤認」:商品等の内容について実際のものよりも著しく優良である又は、他の事業者のものよりも著しく優良であると誤認される表示。
 「有利誤認」:価格等の取引条件について実際のもの又は、他の事業者のものよりも著しく有利であると誤認される表示。
 どちらも「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」で禁止され、違反に対して行政処分等が行われる。