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教科書大手「大阪書籍」 日本文教出版に版権譲渡へ 自社発行は断念

2008.12.16 01:48

 民事再生手続き中の教科書出版大手「大阪書籍」は15日、再建計画が事実上頓挫し、保有する教科書の版権を教科書出版「日本文教出版」(大阪市)に譲渡する方針を固めた。文部科学省によると、大阪書籍の教科書は全国の小中学校で約285万部が採択されているが、平成21年度発行分からは日本文教出版が発行者となり、検定ずみ教科書が供給される見通し。版権譲渡により、大阪書籍としての教科書発行は断念するとみられ、明治創業の老舗の名称が教科書から消えることになりそうだ。

 関係者によると、版権の譲渡額は、印刷ずみの教科書の差し替え費用も含めて2億数千万円になる見込み。一部従業員については、日本文教出版が引き受ける方向で調整しているが、大阪書籍本体の再建は不透明な情勢となっている。

 大阪書籍は4月、前社長による不動産投資で多額の資金が流出、民事再生法の申請に追い込まれ、9月10日付で東京の出版社「アム アソシエイツ」が出資する新会社に「大阪書籍」の商号と教科書事業を譲渡。東京都港区を本社地として従業員約70人を再雇用し、再建に乗り出していた。

 しかし、約3億2000万円とされる譲渡額の支払いなどをめぐり、アム社側との交渉が暗礁に乗り上げ、さらに、従業員給与の未払いも発生するなど、再建計画が迷走を続けていた。

 21年4月の新学期に教科書を納入するには、遅くても1月初旬には印刷を開始する必要があり、期限が迫る中、昭和26年設立で教科書事業に精通している日本文教出版への版権譲渡が最善と判断したとみられる。

 日本文教出版は小学校の図画工作と中学の美術の教科書シェアは全国1位だが、中学の社会科ではシェア1%前後。大阪書籍は中学の歴史、公民で全国2位のシェア(約13〜15%)を占めていた。

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