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女子高生の制服、スカート丈10センチ長く

 下着が見えそうなくらい短かった女子高生の制服のスカート。しかし最近ではピークより10センチほど長くなり、一時の過激さがなりを潜めている。これで落ち着いてくれたらいいのだけれど。(大木隆士)

セレブ志向

 「スカートを短くし過ぎると、浮いちゃうでしょ」と話すのは、東京・渋谷センター街にいた私立高3年女子。この子のスカートは、ひざ上15センチほど。中年のとば口にいる私には、かなり短く感じるのだが。彼女らによると、変化は数年前、ルーズソックスが“絶滅”したころに訪れた。

 「丈を短くし過ぎている子を見ると、ああ頑張っちゃって、と思っちゃう」。都立高3年の女子は以前の「超ミニ」を完全にバカにしているようだ。

 男の子たちも女子の服装には興味津々。私立高の男子グループは「短いスカートとか田舎くさい。ギャルっぽいのは嫌だ」と声をそろえた。

 十代向け雑誌「Cawaii(カワイイ)!」の編集者は、「女子高生のスカート丈は5年前に比べると、10センチぐらい長くなっている」と話す。同誌は「セレブ女子高生」というキャッチフレーズで、「品良く清楚(せいそ)」という価値観を打ち出している。

 スカート丈ばかりでなく、シャツのボタンを外すのは上二つまで、化粧はナチュラルに、派手なカールはやめて自然なポニーテールに――といった装いを推奨。こうすれば、「堅くならない程度に上品な感じが出る」のだという。

神戸さらに長く

 東京よりさらに長いところも。下校途中の生徒でにぎわう神戸市・三宮。女子高生たちの半分近くはひざ小僧が隠れている。東京に比べると20センチほど長いようだ。「神戸のお嬢様学校の多くは伝統的にスカートが長い。みんな、お嬢様をまねているのでは」。市内の衣料品店の女性は、神戸ならではの事情を語る。

 制服メーカー「トンボ」の佐野勝彦・ユニフォーム研究室長によると、デザイン理論の点から理想的なのは、「ブレザーの場合、ひざ上数センチぐらい」。上下の服のバランスがとれ、シルエットが美しく見えるという。東京はまだまだ短く、神戸は長過ぎる、ということになるのか。

 さすれば、日本の学校が女子生徒に課してきた「すそがひざにかかるぐらい」という基準は、ファッション的にはズレていたということだ。なぜ、こんなことに――。

 佐野さんは日本人の昔ながらの美意識のためだと言う。着物からスカートに服装が変化した後も、ひざを隠すのが大和撫子(なでしこ)のたしなみとされた。この古い考えが教育界に長く残っていたと指摘する。

 スカートの「丈」は、そもそも世相の産物だ。今の生徒たちは西も東もセレブ志向。格差社会の勝ち組として上流をもてはやす時代の空気が、反映されているのだろう。

 いやはや、次なる時代の長さは?

2008年6月21日  読売新聞)
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