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更新:5月9日 11:15デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

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■1億ドルに達する開発費

 いったいどうやったらこれほどのタイトルが作れるのだろう。様々なニュースが伝わってきているが、ますますよくわからなくなっている。

 開発を担当した英スコットランドのRockstar Northは、全体で220人規模のGTAシリーズ専門の開発スタジオだ。

 英タイムスによれば、開発費は約1億ドル(約100億円)で、開発に関わった延べ人数は1000人に及ぶ。ビデオゲームの世界で過去に最も開発費がかかったのは99年の「シェンムー」(ドリームキャスト、セガ)で約70億円だ。開発費の面でもそれを大幅に上回る「化け物タイトル」というわけだ。

 他の報道によると、開発期間は36カ月だという。中核メンバーはGTAシリーズで一貫して変わっていないものの、ゲームシステムを支えるゲームエンジンなどは刷新し、新しく作り直した。フィードバックを積み重ねて修正するイテレーション(繰り返し)プロセスを使って、組織的に開発したという。

 ただ、それでもこれほどのボリュームを的確にマネジメントして、決められたスケジュールで作り上げることが本当に可能なのかと不思議に感じる。これほどのボリュームにも関わらず、遅れは半年しかなかった。

 このゲームは、ゲーム全体の最初の設計やシステムと、ゲームの映像処理などを行うエンジンとが深くリンクする形で開発が行われる必要がある。実際の開発作業に取りかかる前の段階で、プログラマーと設計者が深いレベルで連携を取り、エンジンを開発する必要がある。

 GTAクローンと呼ばれる箱庭的ゲームは、最近では2月に「バーンアウトパラダイス」(EA)など多数発売されてきている。しかし、この手のゲームの開発手法は日本では一般的ではなく、日本のゲーム会社が最も苦手とする分野のゲームともいえる。GTAIVは、日本企業が真似をすることさえ容易でない領域にきてしまった印象がする。

■プラットホーム化するGTAIV

 GTAIVは、追加コンテンツを無料でダウンロード提供することをすでに発表している。また、有料コンテンツの配信も始めてくるだろう。そして、GTAIVのプロジェクトが今回だけで終わる可能性は絶対にない。今の北米の開発サイクルが踏襲されるならば、今後同じ基本システムを使った別タイトルを2年単位で発売できる組織体制がすでに整えられていると思われる。

 GTAIVの登場により、欧米市場での高性能ハード向けタイトルは否応なく「GTAIV以前」と「以後」に分けて考える必要性に迫られるだろう。GTAIVがベンチマークとなり、評価の基準が引き上げられてしまうことは間違いない。また、開発費がこれだけかかってもビジネスとして成功することがはっきりしてしまった以上、全体のさらなる開発費高騰が促される可能性が高い。

 一方で、GTAIVのゲーム内の暴力表現は、早速大きな問題になりつつある。GTAシリーズは過去にも内容が暴力的すぎると欧米では大きな社会的関心を集めた。それは日本にも飛び火し、同じようにゲームの暴力表現への関心を集めることになった。GTAIVの発売によってその問題は蒸し返されつつあり、その状況については次回に紹介したい。

[2008年5月9日]

-筆者紹介-

新 清士(しん きよし)

ゲームジャーナリスト。立命館大学映像学部講師

略歴

 1970年生まれ。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心にリサーチするジャーナリストに。他に、ゲーム専門学校デジタルエンタテイメントアカデミー講師。ゲーム開発者を対象とした国際NPO、国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表。コンピュータエンタテインメント協会(CESA)理事。ブロードバンド推進協議会(BBA)オンラインゲーム専門部会部会長。日本デジタルゲーム学会(DiGRA Japan)理事。著書に『「侍」はこうして作られた』(新紀元社)
<関連リンク>

国際ゲーム開発者協会日本
E-mail:sakugetu@gmail.com

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