アーミテージ氏が語る新しい日米安全保障体制

中国の透明性を高めることが重要

前米国国務副長官
リチャード・アーミテージ氏

 アーミテージ氏は講演の締めくくりにおいても中国の問題に触れた。米国はニクソン政権下で中国との国交樹立を果たしたが、それ以来、「中国が孤立しないように、内向きにならないように米国は行動してきたし、中国を封じ込めようとは思っていない」と明言した。

 「日本も対中投資を続けてきた。中国が今後、どのような方向に向かうのか米国も関心があるし、中国は透明性を高める必要があると思います。防衛の方向性もどうなるのか、中国指導層もまだ決めていないのではないでしょうか」。

 同氏は中国が北朝鮮問題に対して努力していることを評価しながらも、エネルギー確保のため、スーダンやベネズエラなどで「よくない動き」をしているとも語った。

 最後にアーミテージ氏は日本へのエールとしてこう語った。

 「世界でどの国が優れているか聞いた調査によると、アジアの人々の82%が『日本』と回答しました。彼らは(第2次世界大戦の)日本軍による占領は独立への機会になったと考えています。日本は文化、政治、安全保障の面でも優れた模範を提供でき、その役割は高まっているのです。日本はこの現状をゆったりと構えてとらえ、もっとアジアに関わっていくべきです」。

日本は自信と大局観を持て

 アーミテージ氏は日本が自信と大局観を持ち、アジアに対してかかわっていくべきだと説く。

 「『中国に対してどのように適切に対応するべきか』とよく日本で聞かれるのですが、この質問そのものが適切ではありません。中国ではなく、アジアに対してどう適切に対応するかということが重要なのです。

 現在、日米関係はうまくいっており、提携や協力関係が進んでいます。国家同士の付き合いは結婚のようなもので、維持するにはお互いの努力が必要です。日米はもっと政治的議論を増やすべきでしょう。

 今後、日米間でFTA(自由貿易協定)を結ぶ可能性もあります。農業問題が障害になるという人もいますが、農業はGDPにおける割合は小さい。2国間のさらなる関係強化が必要でしょう」。

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