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インタビュー:「ないしょのつぼみ」原作者・やぶうち優さん 「あおらずリアルに伝えたい」

やぶうち・ゆう=83年に「ボインでごめん!」でデビュー。代表作は「水色時代」「少年少女」など。
やぶうち・ゆう=83年に「ボインでごめん!」でデビュー。代表作は「水色時代」「少年少女」など。

 「水色時代」「少年少女」シリーズなど思春期の心の機微を等身大で描き、幅広いファンを持つやぶうち優さん。性教育というテーマに正面から取り組み、学年誌では異例の55万部のヒットとなった「ないしょのつぼみ」誕生の秘話を明かしてもらった。

--この物語を書こうと思ったきっかけは?

 03年の秋、「小学五年生」編集部から、「性教育をテーマに新しい連載を立ち上げませんか? 可愛い女の子が主人公で、ファンタジーを盛り込んだ作品を」と提案がありました。ちょうどその年の5月に息子を出産して、生命の誕生の不思議さを目の当たりにしたんです。男の子なので、女の子と男の子の違いにも、より興味が沸いてきたんです。

--「性教育」というテーマは以前から考えていたのですか?

 テーマにするのは初めてではありません。「12のソネット」という作品でも月経のエピソードがありますし、「水色時代」や「少女少年」シリーズも、思春期を追っています。この「ないしょのつぼみ」で描いている10~11歳って、幼くもなく大人でもなく“ビミョー”。だから面白いんですよ。大人へと成長するスピードがぐっと上がって、小5の春と小6に上がる春では、女の子なんて別人みたいに変わるじゃないですか。だからこそ描き甲斐がありますし、すごく大切に描かなきゃって思いますね。

--作品を描く上で一番苦労したり、気を付けている点は?

 なかなか難しい題材ですから、表現の“さじ加減”は毎回いろいろ悩みます。1巻の中に、つぼみが「えっちなことってどういうことするの?」と、友だちに聞くシーンがあるんです。その答えが、読んだ子どもたちにとってセンセーショナルにならないよう、担当さんと相談しました。答えは、コミックスとアニメで確かめてください(笑)。 できるだけリアルに伝えたいと思っていますが、読んだ子の不安をあおるような表現はしないよう心がけています。特に「初経」のような、女の子にとってある程度ショックが大きい出来事は、まちがったマイナスイメージを与えないよう気をつけますね。それから「ないつぼ」は、15ページという短い中に、“性教育”と“不思議”の両方を盛り込むのに苦労します。どちらか一方だけだと、「ないつぼ」である意味がないですから。

--つぼみをはじめ人物はどのように設定されるのですか?

 いま「小学五年生」で連載している「ないつぼ」は5期目になります。毎シリーズ、最初につぼみのキャラクターを考えます。つぼみは必ずどこにでもいる女の子を想定していて、1期のつぼみは内気な子。2期は強気な子。3期は無邪気な子。4期は大人びた子。そして5期のつぼみは、ちょっとガサツな子です(笑)。そんなつぼみに、シリーズごとにちがう“不思議のテーマ”をからませています。一番のお気に入りは、1期の沙耶。私の理想の女の子です。女の子はリアルに描くことが多いのですが、沙耶は非現実的なキャラですね。

--1年ごとに主人公の設定が変わりますね

学年誌は、毎年読者が変わるので、12カ月(12回)でひとくくりなんですよ。ただ、1巻の読者が2巻以降もずっと楽しめるようにしたいので、“少し不思議”のテーマは毎回変えて、つぼみもそれまでのつぼみとキャラがかぶらないようにします。でも、つぼみ以外の面々は、変えていないんですよ。髪型とか基本の性格とか。あえて“テンプレート方式”です(笑い)。

--アニメ化が決まったときはどう思われましたか

「まさか! うそみたい!」です。「水色時代」がアニメ化されたときもそうでしたが、ストーリー自体はいたって地味ですから、アニメになるとは思ってもいなかったので。でも、いろんな意味で表現の難しいこの作品を、真しな姿勢で、真面目に、上品に作っていただき、つくづく恐縮です。

--アニメにかかわっていることは?

キャストに関してはこちらの希望も聞き入れていただき、とても感謝しています。豪華かつイメージぴったりで幸せです。つぼみ役の名塚佳織さんと太役の宮田幸季さんはこの人しかいないっ!と思ってましたので、決まった時は本当にうれしかった。また、つぼみたちのファッションはいろいろとチェックさせていただきました。子どもたちに「ダサい」と思われないよう、マンガのときも気を遣っているので。アニメの服も、原作にできるだけ近づけていただきました。

--ファンにメッセージを

子供はもちろん、親子で見ても楽しめますし、性教育のお勉強もできます。子供でない方も、「ないつぼ」なあのころのことを思い出しながら見てください!

2008年4月20日

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