練習中の新井に背後から近づきからかうブラウン監督(右)=京セラドーム大阪
「オープン戦、阪神7-3広島」(5日、京セラドーム)
阪神・新井が感情を抑え、平常心で古巣との初対決に臨んだ。実戦初の3番に座り、4番・金本と初めて組んだクリーンアップ。3打数1安打。五回に中前打を放ち、今岡の左前打で激走、本塁を踏んだ。結果よりも、10年間の歴史を刻んできたカープへの愛情を押し殺し、勝利に徹した。
「色んな思いはあるけど、試合が始まれば、勝つために全力を尽くすだけですからね」。島野氏の追悼試合、金本との共演、そして広島戦。あふれ出る思いが交差した。
「今でもやっぱりカープの試合は気になりますよ」。当然の感情だ。半ば強制的に自らの退路を断って決断し、FA会見で涙まで流したのだ。試合前日、初の広島戦に「特に何も言うことはない」と話した。自分の気持ちは自分にしか理解できない。口でうまく説明できなかった。新井が身も心も虎に染まるため、最もつらい“儀式”を済ませた。