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オレたちがNo.1だ!優勝したマツリダゴッホの鞍上・蛯名はゴール後、雄叫びをあげる
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あっと驚く結末が…。07年の中央競馬を締めくくるグランプリレース「第52回有馬記念」は9番人気の伏兵マツリダゴッホが直線先頭に立つ積極的な競馬でG1初優勝。単勝5230円は91年ダイユウサクに次ぐ史上2番目。馬連、3連複、3連単で従来の記録を塗り替えるなど大荒れとなった。1番人気メイショウサムソンは8着、ファン投票1位のウオッカは11着に沈んだ。
強力3歳牝馬の挑戦、ダイワの兄妹G1馬対決、年度代表馬の座をかけた古馬の争い…話題に事欠かない有馬記念だったが、レースは思わぬ結末が待っていた。
主役は単勝9番人気のマツリダゴッホ。直線に入るとスルスルと内ラチ沿いを抜け出して一気に先頭へ。追いすがる馬は見当たらず、そのまま2着のダイワスカーレットに1馬身1/4の差をつけてゴールに飛び込んだ。大きな歓声が飛びかっていたスタンドがその瞬間だけ、シーンと静まり返った。前走・天皇賞・秋で15着に惨敗。距離延長にも不安があるとあれば、この評価もやむを得なかった。
殊勲の蛯名騎手は「アッと言わせるどころか、勝った僕の方がアッと言っちゃいました」と声を弾ませる。01年は3番人気のマンハッタンカフェで鮮やかな差し切りを決めたが、2着は13頭立て最低人気のアメリカンボスで有馬史上最高配当の馬連4万馬券。歴史は繰り返す。01年と同じ12月23日に行われた今回の有馬でも、人気薄の馬を勝利に導いて再び波乱を呼んだ。
「勝った後、馬にまたがって検量室に戻る時に“空気を読めよ!!”ってファンから怒鳴られた。オレってKYかな。すみません」と、おどける蛯名騎手の表情は緩んだまま。昨秋のセントライト記念で落馬、競走中止。その後は乗り代わりとなり悔しい思いをした。今秋のオールカマーで1年ぶりにコンビを組んで優勝、一気にG1ウイナーまで上り詰めたのだ。
表彰式には高橋文枝オーナー、生産者・岡田スタッド関係者の姿はなかった。NHKマイルCのピンクカメオに続く今年G1・2勝目を挙げた国枝師も驚きの表情を隠せない。「状態は本当に良かったが、このメンバー相手に本当に勝つとは…。左回りで結果が出ていないので他のG1もJRAに頼んで中山に移してもらおうか」とジョークも飛び出すほど。来年は日経賞(3月30日)からの始動が濃厚。長く関東のエースとして君臨してきたダイワメジャーが引退、代わってこの馬が来年の古馬戦線を引っ張っていく。
それにしても、最後の最後でまた荒れた。100万馬券は当たり前、荒れっぱなしだった春に比べ、比較的平穏に収まっていた今秋のG1戦線だが、最後の最後でまた大波乱に。競馬場を引き揚げるファンの多くがうつむきがちだった。
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