博多(福岡県)−直江津(新潟県)−室蘭(北海道)の各港を結ぶ定期フェリーが二日、山陰で初めて境港に寄港した。日本海沿岸の広域振興を図る国交省の提案を受けて、フェリー運航会社「リベラ」(広島県呉市)が境港と金沢(石川県)に試験寄港させたもので、乗客アンケートなどを通して境港、金沢両港の寄港地としての可能性を探るのが目的。正式の寄港が実現すれば地域の観光、物流振興につながるだけに、境港市は乗員、乗客を“熱烈歓迎”して境港をアピールした。
寄港したのは北上コースの「ニューれいんぼう・べる」(一一、四一〇トン)。一日深夜に博多を出港し、二日朝に境港市昭和町の岸壁に入港した。出迎えた市職員は名物の鬼太郎の着ぐるみで乗員、乗客を歓迎。乗客は二日夜まで境港に滞在する行程だったため、市はバスでJR境港駅まで送り、水木しげる記念館などの無料券や中海圏の観光パンフレットを贈ってもてなした。
リベラによると、同船の乗客数は博多から境港までが十二人で、境港から金沢へはツアー客などが新たに乗船するため計百一人になる。一方、三日朝には南下コースの「ニューれいんぼう・らぶ」(一一、四〇一トン)が金沢から境港に着く予定で、こちらはツアー客を中心に百三人の乗客が境港を訪れるという。
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境港に入港したフェリーの乗客に花束を贈る着ぐるみの鬼太郎=2日、境港市昭和町
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博多から境港に到着した千葉県成田市の会社員、栗田弘光さん(33)は「(リベラの既存航路は)何度か乗ったが、今回は普段と違う港にも寄るというので、どんな新しいものがあるか見てみたい」と話していた。
境港への試験寄港は今回限りで、来年二月の関係者協議を通して正式寄港が実現可能かどうかが示される。境港商工会議所の足立統一郎会頭は「(実現すれば)観光、商業港としての境港が国内で一気に注目される」と期待。境港市の松本健治産業環境部長は、博多から境港への乗客数が少数だった状況を踏まえ「(実現には)松江や出雲、安来、米子、境港の観光連携が不可欠」と話し、今後も圏域を挙げて寄港機運を盛り上げたい意向だ。