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IPCC報告の衝撃
コラム
鳥井弘之の『ニュースの深層』
温暖化対策で重要性増す
各国の人口政策
6月6日、厚生労働省は2006年の合計特殊出生率が6年ぶりに上昇したと発表した。一方、6月にドイツのハイリゲンダムで開かれたサミット(主要国首脳会議)で論議されたような、2050年までに温室効果ガスを半減させるためには、世界人口の推移が大きなポイントとなる。世界の平均寿命と合計特殊出生率を基に、世界人口の今後の動向を探ってみた。
新聞各紙は6月7日、「厚生労働省は2006年の合計特殊出生率が6年ぶりに上昇に転じ、1.32になったと発表。過去最低だった2005年の1.26を0.06上回った」という記事を掲載した。第2次ベビーブームと言われた1970年代前半の日本の出生率は2.14程度だったが、それ以降、ほぼ一貫して低下傾向が続いており、少子化が大きな社会問題に発展する事態に至った。果たして2006年の出生率上昇が日本の少子化の歯止めを示すものなのか、それとも一時的な要因によるのか、大いに気をもむところである。
合計特殊出生率は、女性が一生の間に生むと推定される子供の数を意味する。人口の半分は女性であるから、計算上、合計特殊出生率が2であれば人口は増えもせず減りもせず安定する。ただし、出産年齢に達する前に亡くなる人もいるため、実際には2を多少上回らないと、人口は僅かながら減少することになる。
前回のコラムで、2050年までに温室効果ガス半減という話題を取り上げ、途上国の人口増加を勘案すると、この目標達成がいかに困難かについて触れた。目標を達成するには、エネルギーの消費量を大きく削減すると同時に、人口増加に歯止めをかけることが重要である。
地球環境問題にしても各種資源問題にしても、地球上に住む人間の数が少なければ起こっていない。農業の生産性向上と工業化によって多くの人口を養えるようになったことで、人類は爆発的に増加し始めた。増加した人類が豊かな生活を求めることによって、さらなる資源が必要になり、環境汚染が進んだ。
人口は出生率と平均寿命のかけ算で決まってくる。まず平均寿命である。2000年の統計を基に長寿国(79歳以上)と、短寿国を示すと次のようになる。
■世界の長寿国と短寿国
長寿国 | 短寿国 | ||
日本 | 81.1歳 | ザンビア | 38.0→36.5歳 |
スイス | 79.7歳 | シエラレオネ | 37.3→37.4歳 |
スウェーデン | 79.6歳 | マラウイ | 38.8→37.5歳 |
アイスランド | 79.5歳 | ボツワナ | 39.0→38.0歳 |
イタリア | 79.5歳 | ジンバブエ | 39.9→38.5歳 |
スペイン | 79.0歳 | ルワンダ | 39.9→39.8歳 |
長寿国と短寿国では、平均寿命に2倍以上の開きがある。短寿国の数値の左側は2000年の平均寿命、右側は2003年の平均寿命。改善する兆しは見えない
短寿国の数値は、矢印の左側が2000年の平均寿命で、矢印の右側は2003年の平均寿命である。貧困にあえぐアフリカの多くの国では、1980〜85年ごろに平均寿命のピークを迎え、その後は一貫して短縮傾向にある。
上の表が示す通り、現在でも平均寿命は短くなりつつある。その大きな理由はエイズ(後天性免疫不全症候群)の流行や内戦の影響である。平均寿命が短いということは若者の死亡率が高いことを意味している。
■世界人口の推移
2000年までの50年間で世界の人口は2.4倍になった。世界人口の増加傾向は、21世紀に入ってもほとんど変化がない(出典:総務省統計局『世界の統計』2007年版より引用)
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